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1コンクリート工
■コンクリート工
「コンクリート工」では、特に「コンクリートの材料」「配合設計」「運搬、打込み、締固め及び仕上げ」(なかでも「打込み」及び「締固め」)、「養生」、「鉄筋工」、「特別な考慮を要するコンクリート」(なかでも「寒中コンクリート」及び「暑中コンクリート」)からの出題が多い。
■コンクリート
(1) セメントとコンクリート
セメントはコンクリートを作るための材料である。このほかに、セメントの使い方として、モルタルやセメントペーストがある。
① コンクリート
コンクリートとは、セメント、水、細骨材、粗骨材及び必要に応じて加える混和材料を構成材料とし、これらを練混ぜその他の方法によって混合したもの、または硬化させたものをいう。
引用:日本建設情報センター編『1級土木施工管理技士 講義要点テキスト(平成29年度版)』45頁(日本建設情報センター、2017)
② モルタル
モルタルとは、セメント、水、細骨材、及び必要に応じて加える混和材料を構成材料とし、これらを練混ぜその他の方法によって混合したもの、または硬化させたものをいう。
③ セメントペースト
セメントペーストとは、セメント、水及び必要に応じて加える混和材料を構成材料とし、これらを練混ぜその他の方法によって混合したもの、または硬化させたものをいう。
(2) コンクリートの材料
① 骨材
骨材とは、モルタルまたはコンクリートを造るために、セメント及び水と練り混ぜる砂、砂利、砕砂、砕石、スラグ骨材、その他これらに類似の材料をいう。なお、解体したコンクリート塊等を破砕等の処理を行うことにより製造したコンクリート用の骨材を、再生骨材という。
骨材には、細骨材と粗骨材がある。
② 混和材料
混和材料とは、セメント、水、骨材以外の材料で、コンクリート等に特別の性質を与えるために、打込みを行う前までに必要に応じて加える材料をいう。
混和材料には、混和材と混和剤がある。
(a) 混和材
混和材とは、混和材料の中で、使用量が比較的多く、それ自体の容積がコンクリートの練上がり容積に算入されるものをいう。
(b) 混和剤
混和剤とは、混和材料の中で、使用量が少なく、それ自体の容積がコンクリートの練上がり容積に算入されないものをいう。
(3) コンクリート構造
① 無筋コンクリート
無筋コンクリートとは、鋼材で補強しないコンクリートをいう。ただし、コンクリートの収縮ひび割れその他に対する用心のためだけに鋼材を用いたものは無筋コンクリートとされる。
② 鉄筋コンクリート
鉄筋コンクリートとは、鉄筋で補強されたコンクリートをいう。
鉄筋 |
コンクリートに埋め込んでコンクリートを補強するために用いる棒状の鋼材 |
あき |
互いに隣合って配置された鋼材の純間隔 |
かぶり |
鋼材の表面からコンクリート表面までの最短距離で計測したコンクリートの厚さ |
③ プレストレストコンクリート
プレストレストコンクリートとは、広義には鉄筋コンクリートの一種であり、PC鋼材等によってプレストレスが与えられているコンクリートをいう。なお、プレストレスとは、荷重作用によって断面に生じる応力を打ち消すように、あらかじめ計画的にコンクリートに与える応力をいう。
(4) フレッシュコンクリート
① フレッシュコンクリート
フレッシュコンクリートとは、まだ固まらない状態のコンクリートをいう。
② レディーミクストコンクリート
レディーミクストコンクリートとは、整備されたコンクリート製造設備を持つ工場から、荷卸し地点における品質を指示して購入することができるフレッシュコンクリートをいう。
③ スランプ
スランプとは、フレッシュコンクリートの軟らかさの程度を示す指標の1つで、スランプコーンを引き上げた直後に測った頂部からの下がりで表す。
引用:日本建設情報センター編『1級土木施工管理技士 講義要点テキスト(平成29年度版)』56頁(日本建設情報センター、2017)
④ ブリーディング
ブリーディングとは、フレッシュコンクリートにおいて、固体材料の沈降または分離によって、練混ぜ水の一部が遊離して上昇する現象をいう。
なお、コンクリートの打込み後、ブリーディングに伴い、内部の微細な粒子が浮上し、コンクリート表面に形成するぜい弱な物質の層を、レイタンスという。
引用:『土木施工管理技術テキスト 土木一般編(改訂第2版)』206頁(地域開発研究所、2020)
■コンクリートの品質ー1
コンクリートは、品質のばらつきが少なく、施工の各作業に適したワーカビリティーと強度発現性を有するとともに、硬化後は所要の強度、劣化に対する抵抗性等を有するものでなければならない。
(1) ワーカビリティー
ワーカビリティーとは、材料分離を生じることなく、運搬、打込み、締固め、仕上げ等の作業が容易にできる程度を表すフレッシュコンクリートの性質をいう。施工を適切かつ効率的に行い、欠陥の少ないコンクリート構造物を造るためには、使用するコンクリートが、施工条件、構造条件、環境条件に応じてその運搬、打込み、締固め、仕上げ等の作業に適するワーカビリティーを有していなければならない。
特に重要なワーカビリティーとして、充填性、圧送性、凝結特性がある。
① 充填性
充填性とは、ワーカビリティーのうち、コンクリートが材料分離することなく型枠中のかぶり部や隅角部等に密実に充填する性質をいう。
充填性は、構造物の種類、部材の種類及び大きさ、鋼材量や鋼材の最小あき等の配筋条件とともに、場内運搬の方法や締固め作業方法等を考慮して、作業のできる範囲内で適切に定めなければならない。充填性の良否は、コンクリートの流動性と材料分離抵抗性の相互のバランスによって定まるため、充填性はコンクリートの流動性と材料分離抵抗性から定める。
引用:土木学会 コンクリート委員会 コンクリート標準示方書改訂小委員会編『コンクリート標準示方書[施工編]』70頁(土木学会、2017年制定、2017)
(a) コンクリートの流動性
コンクリートの流動性は、打込みの最小スランプを適切に設定することによって確保することを標準とする。
(b) コンクリートの材料分離抵抗性
コンクリートの材料分離抵抗性を確保するためには、一定以上の単位セメント量あるいは単位粉体量が必要であるため、コンクリートの材料分離抵抗性は、単位セメント量あるいは単位粉体量を適切に設定することによって確保することを標準とする。
また、細骨材率を適切に設定することも材料分離抵抗性の向上に対して有効である。
② 圧送性
圧送性とは、コンクリートポンプによって、フレッシュコンクリートを圧送するときの圧送の難易性をいう。
コンクリートポンプを用いる場合には、フレッシュコンクリートは、圧送作業に適する流動性と適度な材料分離抵抗性を有していなければならない。圧送性を決定する要因としては、小さい圧送負荷で大きな圧送量を得られることと、コンクリートが輸送管内で閉塞しにくいことがある。
③ 凝結特性
凝結とは、コンクリートの流動性が失われる現象をいう。フレッシュコンクリートの凝結特性は、打重ね、仕上げ等の作業に適するものでなければならない。凝結特性は、一般に凝結の始発時間と終結時間で評価され、一般のコンクリート構造物の施工においては、始発時間5~7時間、終結時間6~10時間程度である。
コンクリートの凝結時間は、混和剤の種類によってある程度制御することが可能であり、一般的に暑中コンクリートでは遅延形、寒中コンクリートでは促進形の混和剤が用いられる。