- 施工管理法
- 5.品質管理
- 品質管理
- Sec.1
1品質管理
■品質管理
「品質管理」からは、例年4問出題されている。最近は、「品質管理の方法」、「ヒストグラム及び管理図」、「盛土の締固めの品質管理」及び「レディーミクストコンクリート(JIS A 5308)の品質管理」から各1問が出題されている。
■品質管理の方法
(1) 品質管理の目的
品質管理の目的は、契約約款、設計図書などに示された規格を満足するような構造物を最も経済的に施工することである。
(2) 品質管理のPDCAの手順
品質管理においても、PDCAサイクルを適用することにより、継続的改善が実施されることになる。品質管理活動における作業内容についての品質管理のPDCA(Plan、Do、Check、Action)の手順は、次のとおりである。
➊ Plan |
品質特性の選定と、品質規格を決定する。 |
➋ Do |
作業標準に基づき、作業を実施する。 |
➌ Check |
統計的手法により、解析・検討を行う。 |
➍ Action |
異常原因を追究し、除去する処置をとる。 |
なお、手順➌における統計的手法として、工程能力図、ヒストグラムや管理図などが用いられる。
Point1 品質特性とは、品質管理を行う具体的な対象項目のことである。
Point2 品質規格とは、施工管理で実現すべき品質の目標である。
Point3 作業標準とは、品質規格を満足させるための作業の方法である。
(3) 工事の品質管理における工種とその品質特性及び試験方法
工種とその品質特性及び試験方法の組合せの例は、次のとおり。
① 土工
品質特性 |
試験方法 |
盛土の締固め度(密度) |
砂置換法 |
RI計器による方法 |
|
土の支持力(支持力値) |
平板載荷試験 |
② コンクリート工
品質特性 |
試験方法 |
コンクリート用骨材の粒度 |
ふるい分け試験 |
スランプ |
スランプ試験 |
フレッシュコンクリートの空気量 |
空気量試験 |
Point 骨材の混合割合〔=粒度〕の測定には、ふるい分け試験を実施する。
③ 路盤工・路床工
品質特性 |
試験方法 |
路盤材料の最適含水比 |
突固めによる土の締固め試験 |
支持力(支持力値) |
CBR試験 |
Point 支持力(支持力値)とは、路盤や路床の強さのことである。
④ アスファルト舗装工
品質特性 |
試験方法 |
アスファルト混合物の粒度 |
ふるい分け試験 |
針入度 |
針入度試験 |
アスファルト量・合成粒度 |
アスファルト抽出試験 |
加熱アスファルト混合物の安定度 |
マーシャル安定度試験 |
アスファルト舗装の厚さ |
コア採取による測定 |
Point1 マーシャル安定度試験は、加熱アスファルト混合物の配合設計のために行われる試験である。
Point2 アスファルト混合物は、アスファルト合材とも呼ばれる。
■ヒストグラム及び管理図ー1
(1) ヒストグラム
① ヒストグラムの概要
ヒストグラムは、測定値〔データ〕のばらつきの状態を知るために用いられる統計的手法である。
ヒストグラムは、横軸に品質特性値(測定値)の存在する範囲をいくつかの区間に分けてとり、縦軸に測定値の範囲ごとにそれぞれの区間に入る測定値の数を度数として高さで表した〔グラフ化した〕図である。
ヒストグラムからは、ある品質でつくられた製品の特性が、集団としてどのような状態にあるかが判定できる。ただし、ヒストグラムから、個々のデータの時間的変化の様子はわからないため、時系列データの変化時の分布状況を知るために用いることはできない。
Point ヒストグラムは、図が柱状になっていることから、柱状図(度数分布図)とも呼ばれる。折れ線グラフではない。
② ヒストグラムの見方
ヒストグラムは、一般に、中心付近が最も高く、中心から離れるほど低くなる左右対称のつり鐘型を示すことが多い。
規格や目標値が決まっている場合は、下図のように、ヒストグラムに規格値(上限、下限)、目標値を線で記入することにより、ヒストグラムから、規格値に対してどのような割合で規格の中に入っているか、規格値に対してどの程度ゆとりがあるかを判定できる。
引用:『土木施工管理技術テキスト 施工管理・法規編(改訂第2版)』88頁(地域開発研究所、2020)
③ ヒストグラムの読取り
測定値(整数)を整理した下図のヒストグラムからは、次のような内容を読み取ることができる。
引用:令和元年度 2級土木施工管理技術検定 学科試験(後期)問題(種別:土木)No.57
(a) 測定値の最小値は4、最大値は8である。 (b) 測定値の範囲は4である。 測定値の範囲は、「(測定値の最大値)-(測定値の最小値)」で求められる。 よって、その範囲は8-4=4となる。 (c) 測定値の総数は22である。 測定値ごとの度数を読み取って表にまとめると、次のとおりである。
(d) 測定値の平均値は6である。 測定値の平均値は、「(測定値の合計)÷(測定値の総数)」で求められる。 よって、その平均は(4×2+5×4+6×10+7×4+8×2)÷(2+4+10+4+2)=6となる。 |
Point 測定値の値は横軸から、測定値の度数は縦軸から読み取る。