- 施工管理法
- 2.施工計画
- 施工計画
- Sec.1
■施工計画の作成
(1) 施工計画の目的
施工計画の目的は、設計図書に基づき、施工手段を効率的に組み合わせて、適切な品質の目的構造物を、環境保全を図りつつ、最小の価格で工期内に安全に完成させることにある。
(2) 施工計画の作成
① 施工計画の作成
施工計画は、工事の施工にあたり与えられた契約図書に基づき、施工方法、施工順序及び資源調達方法などについて計画する。
Point 施工計画の作成にあたっては、使用機械の選定を含む施工順序と施工方法の検討が必要である。
② 施工計画作成にあたっての留意事項
施工計画作成にあたって留意すべき事項は、次のとおりである。
(a) 施工計画は、経済性、安全性、品質の確保を考慮して検討する。 (b) 施工計画の作成にあたっては、過去の技術や実績にとらわれず、新工法・新技術を取り入れ、工夫・改善を心がける。 (c) 施工計画の作成にあたっては、現場担当者に限定せず、企業内の組織を活用して、全社的な技術水準で検討する。 (d) 施工計画の作成にあたっては、発注者から指示された工期が最適な工期とは限らないので、指示された工期の範囲でさらに経済的な工程を模索することも重要である。 (e) 施工計画の作成にあたっては、計画は1つのみでなく、複数の案を立て、代替案を考えて比較検討する。 |
③ 施工計画の内容
施工計画に定めるべき内容のうち主なものは、次のとおりである。
(a) 仮設備計画
施工計画の作成にあたっては、進入道路、工事用電力、水道などの仮設備計画の検討が必要である。
仮設備計画は、仮設備の設計、仮設備の配置が主な内容である。
Point1 品質管理計画は、仮設備計画の内容ではない。施工計画の主な内容の1つである〔下記(c)参照〕。
Point2 占用地下埋設物は仮設備ではない。
(b) 調達計画
調達計画は、労務計画、資材計画、機械計画が主な内容である。このうち、機械計画は、機械の種別、台数などの計画である。
Point 安全衛生計画は調達計画の内容ではない。安全管理計画の内容である。
(c) 品質管理計画
品質管理計画は、出来形や強度等の品質が、設計図書に基づく規格値内に収まるよう計画することが主な内容である。
(d) 安全管理計画
安全管理計画は、安全衛生計画が主な内容である。
(e) 環境保全計画
環境保全計画は、土木工事の施工が、法規に基づく規制基準に適合するように計画することが主な内容である。
■事前調査
施工計画の作成にあたっては、事前調査の結果から工事の制約条件や課題を明らかにし、それらを基に工事の基本方針を策定する。
施工計画の立案にあたっては契約条件と現場条件の双方の確認が必要不可欠であり、事前調査は、契約条件・設計図書の検討〔契約条件の調査〕、現地調査〔現場条件の調査〕が主な内容である。
(1) 契約条件の調査
契約条件の調査では、工事内容の把握のため、契約書、設計図書及び仕様書の内容などの調査を行って、工事数量の確認を行うなど、発注者の要求する施工条件を理解することが重要である。
Point1 施工条件は、契約条件となるものであることから、設計図書(仕様書など)の中で必ず明示されるので、施工条件は仕様書の内容と直接関係している。
Point2 地質の調査は、契約条件の調査の内容ではなく、現場条件の調査の内容である。
(2) 現場条件の調査(現地調査)
施工方法には現場条件が大きく影響するので、施工計画の作成にあたっては、現場条件の調査を行ってその状況を確認することが重要である。
現場条件の調査の一般的な調査項目は、次のとおりである。
① 現場の自然条件の把握のため、地域特性、地質、地下水、湧水、気象などの調査を行う。 ② 労務の把握のため、労務の供給、労働環境、賃金の状況などの調査を行う。 ③ 資機材の把握のため、調達の可能性、適合性、調達先などの調査を行う。 ④ 輸送の把握のため、道路の状況、運賃及び手数料、現場搬入路などの調査を行う。 ⑤ 近隣環境の把握のため、現場周辺の状況、近隣構造物、地下埋設物、近隣施設への騒音振動の影響などの調査を行う。 ⑥ 用地の把握のため、工事用地などの調査を行う。 |