• 法令上の制限税その他ー3.国土利用計画法
  • 2.事後届出制
  • 事後届出制
  • Sec.1

1事後届出制

堀川 寿和2021/11/25 14:32

 注視区域、監視区域または規制区域のいずれにも指定されていない区域に所在する土地についての土地売買等の契約は、事後届出制の対象となる。

土地に関する権利の移転または設定後における利用目的等の届出(事後届出)

(1) 事後届出

土地売買等の契約を締結した場合は、当事者のうち権利取得者は、その契約を締結した日から起算して2週間以内に、一定の事項を、当該土地が所在する市町村の長を経由して、都道府県知事に届け出なければならない。

※ 届出先は、指定都市にあっては、当該指定都市の長になる。


Point1 届出義務者は、権利取得者である。


Point2 購入の予約をした場合は、その予約をした日から2週間以内に届出を行わなければならない。その予約完結権を行使する時は、届出は不要である。


Point3 停止条件付売買契約については、その契約を締結した日から2週間以内に届出が必要である。その条件が成就した時は、届出は不要である。


(2) 届出事項

届出事項は次の通り。

① 土地売買等の契約の当事者の氏名または名称および住所ならびに法人にあっては、その代表者の氏名
② 土地売買等の契約を締結した年月日
③ 土地売買等の契約に係る土地の所在および面積
④ 土地売買等の契約に係る土地に関する権利の種別および内容
⑤ 土地売買等の契約による土地に関する権利の移転または設定後における土地の利用目的
⑥ 土地売買等の契約に係る土地の土地に関する権利の移転または設定の対価の額(対価が金銭以外のものであるときは、これを時価を基準として金銭に見積った額)
⑦ その他、国土交通省令で定める事項


Point4 土地の利用目的だけでなく対価の額も届け出なければならない。

事後届出の対象となる面積

 すべての土地売買等の契約につき事後届出が必要になるわけではない。土地売買等の契約を締結した土地が、一定規模以上である場合に、事後届出が必要となる。

 土地売買等の契約を締結した土地が、次の面積に満たない場合は、事後届出が不要となる。

市街化区域2,000㎡
市街化区域以外の都市計画区域
・市街化調整区域
・区域区分が定められていない都市計画区域


5,000㎡

都市計画区域外の区域
・準都市計画区域
・都市計画区域および準都市計画区域外の区域


10,000㎡

 ただし、権利取得者が上記の面積以上の「一団の土地」について土地に関する権利の移転または設定を受けることとなる場合は、届出が必要になる。


【事後届出の要否】  





Point1 事後届出の要否は、権利取得者で判断する。売買契約であれば買主で判断する。


Point2 交換の場合も、事後届出の要否は権利取得者ごとに判断する。つまり、交換によって相手方から取得する土地が、届出対象となる面積かどうかで届出の要否を判断する。したがって、交換の一方の当事者は届出が必要であるが、他方の当事者は届出が不要ということもありうる。


Point3 事後届出の要否を判断する面積は、「一団の土地」であって「一筆の土地」ではない


Point4 「一団の土地」であるかどうかを判断する基準は以下のとおりである。

① 物理的一体性…土地が隣接もしくは近接していること。必ずしも隣り合っている必要はないが、近くになければならない。


② 計画的一貫性…マンションを建てるために数筆の土地を買うといった具合に一連の計画のもとに取引されていなければならない。計画的一貫性があれば、たとえ時間的には多少のズレ(本試験では「半年」という出題あり)があっても問題とされない。


届出不要の例外

 届出対象となる面積であっても、一定の場合は、届け出なくてよい。届出不要となる例外は次のとおり(主なもの)。

① 民事調停法による調停に基づく場合
② 当事者の一方または双方が国、地方公共団体(都道府県・市町村)その他一定の法人である場合
③ 民事訴訟法による和解である場合
④ 農地法3条1項の許可を受けることを要する場合


Point 農地法5条1項(転用のための権利移動)の許可を要する場合は届出が必要。農地を農地以外の用途に使用するので土地が値上がりする可能性が高いからである。