- 法規
- 6.河川関係法
- 河川関係法
- Sec.1
■河川法の目的
河川法(以下この節において「法」という。)は、河川について、洪水、津波、高潮等による災害の発生が防止され、河川が適正に利用され、流水の正常な機能が維持され、及び河川環境の整備と保全がされるようにこれを総合的に管理することにより、国土の保全と開発に寄与し、もつて公共の安全を保持し、かつ、公共の福祉を増進することを目的としている(法1条)。
Point 「河川環境の整備と保全」も、河川法の目的に含まれる。
■河川の管理
(1) 河川及び河川管理施設
① 河川
「河川」とは、一級河川及び二級河川をいい、これらの河川に係る河川管理施設を含む(法3条1項)。
② 河川管理施設
「河川管理施設」とは、ダム、堰(せき)、水門、堤防、護岸、床止め、樹林帯(堤防又はダム貯水池に沿って設置された国土交通省令で定める帯状の樹林で堤防又はダム貯水池の治水上又は利水上の機能を維持し、又は増進する効用を有するものをいう。)その他河川の流水によって生ずる公利を増進し、又は公害を除却し、若しくは軽減する効用を有する施設をいう(法3条2項)。
Point 洪水防御を目的とする「ダム」も、「河川管理施設」に含まれる。
(2) 河川の種類
① 一級河川
「一級河川」とは、国土保全上又は国民経済上特に重要な水系で政令で指定したもの〔いわゆる「一級水系」〕に係る河川(公共の水流及び水面をいう。以下同じ。)で国土交通大臣が指定したものをいう(法4条1項)。
「一級水系」は、「河川法第四条第一項の水系を指定する政令」によって、全国に109水系が指定されている。
② 二級河川
「二級河川」とは、「一級水系」以外の水系で公共の利害に重要な関係があるものに係る河川で都道府県知事が指定したものをいう(法5条1項)。
③ 準用河川
「準用河川」とは、一級河川及び二級河川以外の河川で市町村長が指定したものをいう(法100条)。準用河川には、二級河川に関する規定(政令で定める規定を除く。)が準用される(同条)。
(3) 河川管理者
「河川管理者」とは、法の規定により河川を管理する者をいう(法7条)。
河川管理者は河川の種類により異なる。それぞれの河川の河川管理者は、原則として、次のとおりである。
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河川の種類 |
河川管理者 |
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① |
一級河川 |
国土交通大臣 |
(法9条1項) |
② |
二級河川 |
都道府県知事 |
(法10条1項) |
③ |
準用河川 |
市町村長 |
(法100条) |
(4) 河川区域
「河川区域」とは、次の①から③までに掲げる区域をいう(法6条1項)。
① 河川の流水が継続して存する土地及び地形、草木の生茂の状況その他その状況が河川の流水が継続して存する土地に類する状況を呈している土地(河岸の土地を含み、洪水その他異常な天然現象により一時的に当該状況を呈している土地を除く。)の区域 ② 河川管理施設の敷地である土地の区域 ③ 堤外の土地(政令で定めるこれに類する土地及び政令で定める遊水地を含む。)の区域のうち、①に掲げる区域と一体として管理を行う必要があるものとして河川管理者が指定した区域 |
Point1 原則として、堤防と堤防に挟まれた区域が河川区域である。
Point2 「高水敷」(こうすいじき)は河川区域に含まれる。
(5) 河川保全区域
河川管理者は、河岸又は河川管理施設(樹林帯を除く。)を保全するため必要があると認めるときは、河川区域に隣接する一定の区域を河川保全区域として指定することができる(法54条1項)。
河川保全区域の指定は、当該河岸又は河川管理施設を保全するため必要な最小限度の区域に限ってするものとし、かつ、河川区域(樹林帯区域を除く。)の境界から50mを超えてすることができない(法54条3項)。
Point1 河川保全区域とは、河岸又は河川管理施設を保全するために河川管理者が指定した区域である。
Point2 堤内地側の河川保全区域は、「河川区域」に含まれない。