• 法規
  • 3.労働安全衛生法
  • 労働安全衛生法
  • Sec.1

1労働安全衛生法

堀川 寿和2022/03/28 16:25

労働安全衛生法

 「労働安全衛生法」からは、例年1問出題されている。最近は、「作業主任者を選任すべき作業」、「特別の教育を必要とする業務」、「計画の届出をすべき仕事」から出題されることが多い。

 ★「施工管理法―安全管理」の問題〔必須問題〕として出題されることもある。

労働安全衛生法の概要

(1) 労働安全衛生法の目的

 労働安全衛生法(以下この節において「法」という。)は、労働基準法と相まって、労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化及び自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的としている(法1条)。

 

(2) 用語の定義

① 労働災害

 労働災害とは、労働者の就業に係る建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等により、又は作業行動その他業務に起因して、労働者が負傷し、疾病にかかり、又は死亡することをいう(法21号)。

 

② 労働者

 労働者とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者(同居の親族のみを使用する事業又は事務所に使用される者及び家事使用人を除く。)をいう(法22号、労働基準法9条)。

 

③ 事業者

 事業者とは、事業を行う者で、労働者を使用するものをいう(法23号)。

作業主任者を選任すべき作業

(1) 作業主任者の選任

 事業者は、高圧室内作業その他の労働災害を防止するための管理を必要とする作業で、政令〔労働安全衛生法施行令〕で定めるものについては、都道府県労働局長の免許を受けた者又は都道府県労働局長の登録を受けた者が行う技能講習を修了した者のうちから、当該作業の区分に応じて、作業主任者を選任しその者に当該作業に従事する労働者の指揮その他の厚生労働省令で定める事項を行わせなければならない(法14条)。

 作業主任者を選任すべき作業については、「労働安全衛生法施行令」(以下この節において「令」という。)が定めている。

 

(2) 作業主任者を選任すべき作業

 作業主任者を選任すべき作業のうち、主なものは次のとおりである(令6条各号)

 

作業主任者を選任すべき作業

作業主任者の名称

1

高圧室内作業潜函工法その他の圧気工法により、大気圧を超える気圧下の作業室又はシャフトの内部において行う作業に限る。)(1号)

高圧室内作業主任者

2

アセチレン溶接装置又はガス集合溶接装置を用いて行う金属の溶接、溶断又は加熱の作業(2号)

ガス溶接作業主任者

3

コンクリート破砕器を用いて行う破砕の作業(8号の2

コンクリート破砕器作業主任者

4

掘削面の高さが2m以上となる地山の掘削(ずい道及びたて坑以外の坑の掘削を除く。)の作業(9号)

地山の掘削作業主任者

5

土止め支保工の切りばり又は腹起こしの取付け又は取り外しの作業(10号)

土止め支保工作業主任者

6

ずい道等の掘削の作業又はこれに伴うずり積み、ずい道支保工の組立て、ロックボルトの取付け若しくはコンクリート等の吹付けの作業(10号の2

ずい道等の掘削等作業主任者

7

ずい道等の覆工(ずい道型枠支保工の組立て、移動若しくは解体又は当該組立て若しくは移動に伴うコンクリートの打設をいう。)の作業(10号の3

ずい道等の覆工作業主任者

8

掘削面の高さが2m以上となる岩石の採取のための掘削の作業(11号)

採石のための掘削作業主任者

9

型枠支保工の組立て又は解体の作業(14号)

型枠支保工の組立て等作業主任者

10

つり足場(ゴンドラのつり足場を除く。以下同じ。)、張出し足場又は高さが5m以上の構造の足場の組立て、解体又は変更の作業(15号)

足場の組立て等作業主任者

 

11

建築物の骨組み又は塔であって、金属製の部材により構成されるもの(その高さが5m以上であるものに限る。)の組立て、解体又は変更の作業(15号の2

建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者

12

橋梁の上部構造であって、金属製の部材により構成されるもの(その高さが5m以上であるもの又は当該上部構造のうち橋梁の支間が30m以上である部分に限る。)の架設、解体又は変更の作業(15号の3

鋼橋架設等作業主任者

13

軒の高さが5m以上の木造建築物の構造部材の組立て又はこれに伴う屋根下地若しくは外壁下地の取付けの作業(15号の4

木造建築物の組立て等作業主任者

14

コンクリート造の工作物(その高さが5m以上であるものに限る。)の解体又は破壊の作業(15号の5

コンクリート造の工作物の解体等作業主任者

15

橋梁の上部構造であって、コンクリート造のもの(その高さが5m以上であるもの又は当該上部構造のうち橋梁の支間が30m以上である部分に限る。)の架設又は変更の作業(16号)

コンクリート橋架設等作業主任者

16

酸素欠乏危険場所における作業(21号)

酸素欠乏危険作業主任者

17

屋内作業場又はタンク、船倉若しくは坑の内部その他の厚生労働省令で定める場所において有機溶剤を製造し、又は取り扱う業務で、厚生労働省令で定めるものに係る作業(22号)

有機溶剤作業主任者

18

石綿若しくは石綿をその重量の0.1%を超えて含有する製剤その他の物(以下「石綿等」という。)を取り扱う作業又は石綿等を試験研究のため製造する作業(23号)

石綿作業主任者

 

Point1 車両系建設機械の運転作業に関しては、免許・講習等の義務付けはあるものの、作業主任者の選任は求められない。したがって、「ブルドーザの掘削、押土の作業」、「移動式クレーンの運転作業」は、作業主任者を選任すべき作業に含まない。

Point2 「既製コンクリート杭のくい打ちの作業」、「道路のアスファルト舗装の転圧作業」は、作業主任者を選任すべき作業に含まない。