• 法規
  • 2.労働基準法
  • 労働基準法
  • Sec.1

1労働基準法

堀川 寿和2022/03/28 16:07

労働基準法

 「労働基準法」からは例年2問出題されている。その内訳は「賃金の支払い」又は「労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇」に関する問題から1問が、「年少者及び女性の就業制限」又は「災害補償」に関する問題から1問が出題されている。

労働基準法総則

 労働基準法(以下この節において「法」という。)は、労働者の保護を基本理念として、労働条件の最低の基準を定める法律である。

 

(1) 労働者

 「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう(法9条)。

 

(2) 使用者

 「使用者」とは、事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいう(法10条)。

賃金の支払い

(1) 用語の定義

① 賃金

 賃金」とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう(法11条)。

 

Point 賞与も賃金に含まれる

 

② 平均賃金

平均賃金」とは、これを算定すべき事由の発生した日以前3か月間その労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう(法121項)。

 

(2) 男女同一賃金の原則

 使用者は、労働者が女性であることを理由として賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない(法4条)。

 

(3) 賃金の支払

① 通貨払い、直接払い、全額払いの原則

 賃金は、原則として、通貨直接労働者に、その全額支払わなければならない(法241項)。

 なお、未成年者は独立して賃金を請求することができ親権者又は後見人が、未成年者の賃金を代わって受け取ってはならない(法59条)。

 

Point1 賃金は、労働者に対して直接支払わなければならず、間接に支払うことはできない。

Point2 使用者は、未成年者の賃金を親権者や後見人に支払うことはできない。

 

② 毎月1回以上払い、毎月一定期日払いの原則

 賃金は、原則として、毎月1回以上一定の期日を定めて支払わなければならない(法242項)。

 

(4) 非常時払

 使用者は、労働者が出産疾病災害その他厚生労働省令で定める非常の場合の費用に充てるために請求する場合においては、支払期日前であっても既往の労働に対する賃金を支払わなければならない(法25条)。

 

Point 賃金の非常時払が認められるのは、労働者が災害を受けた場合に限らない。

 

(5) 休業手当

 使用者の責めに帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60〔=60%〕以上の手当を支払わなければならない(法26条)。

 

(6) 出来高払制の保障給

 出来高払制その他の請負制で使用する労働者については、使用者は、労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない(法27条)。

 

(7) 最低賃金

 使用者は、最低賃金の適用を受ける労働者に対し、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならない(法28条、最低賃金法41項)。

 

(8) 時間外及び休日の割増賃金

 使用者が、労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、原則として、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の25分以上5割以下25%以上50%以下〕の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない(法371項)。