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■上水道に用いる配水管の種類と特徴
上水道に用いる配水管には、ダクタイル鋳鉄管、鋼管、ステンレス鋼管、硬質塩化ビニル管、ポリエチレン管などがある。各管の特徴は次のとおり。
(1) ダクタイル鋳鉄管
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① 管体強度が大きい。 ② じん性に富み、衝撃に強い。 ③ メカニカル継手は、伸縮性や可とう性があるため管が地盤の変動に追従できる。 ④ 施工性が良い。 ⑤ 継手の種類が多く、適材適所に選択できる。 |
① 重量が比較的重い。 ② 継手の種類によっては異形管防護などを必要とする場合がある。 |
ダクタイル鋳鉄管の接合に使用するゴム輪を保管する場合は、紫外線などにより劣化するので極力室内に保管する。
また、ダクタイル鋳鉄管の接合にあたっては、グリースなどの油類は使用しないようにし、ダクタイル鋳鉄管用の滑剤を使用する。
(2) 鋼管
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短所 |
① 管体強度が大きい。 ② じん性に富み、衝撃に強い。 ③ 溶接継手により一体化でき、継手離脱対策が不要である。 |
① 温度変化による伸縮継手、可とう継手の挿入が必要な場合がある。 ② 継手の溶接・塗装に時間がかかり、湧水地盤での施工が困難である。 ③ 外面を損傷すると腐食しやすい。 |
Point 鋼管に用いる溶接継手は、管と一体化して地盤の変動に対応できる。地盤の変動には管体の強度及び変形能力で対応する。
(3) ステンレス鋼管
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短所 |
① 管体強度が大きく、耐久性がある。 ② 耐食性に優れている。 ③ ライニングや塗装を必要としない。 |
① 継手の溶接に時間がかかる。 ② 異種金属と接続させる場合は絶縁処理を必要とする。 |
(4) 硬質塩化ビニル管(硬質ポリ塩化ビニル管)
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短所 |
① 耐食性、耐電食性に優れている。 ② 重量が軽く、施工性が良い。 ③ 内面粗度が変化しない。 |
① 低温時において耐衝撃性が低下する。 ② 有機溶剤、熱、紫外線に弱い。 |
(5) 配水用ポリエチレン管
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短所 |
① 耐食性、耐電食性に優れている。 ② 重量が軽い。 |
① 熱、紫外線に弱い。 ② 有機溶剤による浸透に注意する必要がある。 ③ 融着継手では、雨天時や湧水地盤での施工が困難である。 |
ポリエチレン管の接合には、主に融着継手が用いられる。融着継手は、継手内面に埋め込まれた電熱線に電気を流して発熱させ、継手内面と管外面を同時に溶融して接合するものである。
ポリエチレン管の接合にあたっては、十分な融着強度を得るために、融着面となる管表面を専用工具を用いて切削しなければならない。その際は、削り残しなどの確認を容易にするため、切削面にマーキングをしてから切削する。
■上水道管の布設工事
上水道管の布設工事にあたっては、次の事項に留意しなければならない。
(1) 管の据付け
① 管の据付けに先立ち、管体検査を十分に行い、亀裂その他の欠陥のないことを確認しなければならない。
② 管を掘削溝内につり下ろす場合は、溝内のつり下ろし場所に作業員を立ち入らせない。
③ 管のつり下ろし時に土留め用切ばりを一時取り外す必要がある場合は、必ず適切な補強を施し、安全を確認したうえ施工しなければならない。
④ 管の布設にあたっては、原則として低所から高所に向けて、また、受け口のある管は受け口を高所に向けて配管しなければならない。
⑤ 管を据付ける場合は、管体の表示記号等により管の形状・寸法等を確認しなければならない。また、ダクタイル鋳鉄管の場合は、受口部分に鋳出してある表示記号のうち、呼び径及び年号を上に向けて据付けなければならない。
⑥ 管の据付けにあたっては、管内部を十分洗浄し、水平器、型板、水糸等を用いて中心線及び高低を確認しなければならない。
⑦ 鋼管の据付けは、管体保護のため基礎に良質な砂を敷き均して行う。
Point 鋼管の基礎として砕石は用いない。
(2) 管の切断
管の切断は、管軸に対して直角に行わなければならない。なお、異形管は切断してはならない。
ダクタイル鋳鉄管の切断は、切断機で行うことを標準とする。
Point 管は、管種を問わず、管軸に対して切口が斜めになるように切断することはできない。
(3) 管内清掃
一日の布設作業が完了した後は、管内を清掃し、土砂、汚水等が流入しないよう、管口に仮ぶた等を設置し、管の末端を塞がなければならない。また、管内には、ウエス、工具類、矢板等を仮置きしてはならない。
(4) 埋戻工
管周辺の埋戻しは、片埋めにならないように注意しながら敷き均し、現地盤と同程度以上の密度となるように締め固める。
Point 管の側面の埋戻しを行う際は、管の両側を均等に締め固めなければならない。片側ずつ完了させると管の移動が生じるおそれがある。
(5) 管の取扱い
管の取扱いについては、管の変形等を生じさせないよう慎重に行う。
Point 塩化ビニル管の積みおろしや運搬では、放り投げたりしないで慎重に取り扱う。