- 法令上の制限税その他ー2.建築基準法
- 10.建築協定
- 建築協定
- Sec.1
1建築協定
人は誰しも環境のよい閑静な住宅街に住みたいと思うものである。隣に騒音を出す工場や、キャバレーなど欲しくはない。そこで、環境を保護するために、地域の人々が協力し合って、そのような建物を建てないような契約を結ぶことが考えられる。しかし、そのような契約は、後からその地域に入ってきた者まで拘束することはできない。契約は契約の当事者のみを拘束するものだからである。
しかし、それではせっかく結んだ契約もほとんど意味がないということになる。
そこで、登場したのが「建築協定」である。この建築協定を結んでおくと、後からその地域に入ってきた者に対しても、その効力が及ぶのである。
■建築協定の締結
(1) 建築協定
建築協定とは、一定の区域内における建築物の敷地、位置、構造、用途、形態、意匠または建築設備に関する基準についての協定である。その土地の所有者および借地権を有する者(土地の所有者等)が締結する。
(2) 建築協定を締結することができる区域
建築協定を締結することができるのは、市町村が条例で建築協定を締結することができる旨を定めた区域である。
そこで、市町村は、その区域の一部について、住宅地としての環境または商店街としての利便を高度に維持増進する等建築物の利用を増進し、かつ、土地の環境を改善するために必要と認める場合においては、建築協定を締結することができる旨を、条例で、定めることができる。
(3) 建築協定の認可の申請
建築協定を締結しようとする土地の所有者等は、全員の合意をもって、次の事項を定めた建築協定書を作成し、その代表者によって、これを特定行政庁に提出し、その認可を受けなければならない。
① 建築協定区域(協定の目的となっている土地の区域)
② 建築物に関する基準 ③ 協定の有効期間 ④ 協定違反があつた場合の措置 |
なお、借地権の目的となっている土地がある場合は、当該借地権の目的となっている土地の所有者以外の土地の所有者等の全員の合意があれば足りる。つまり、借地権の目的となっている土地については、借地権者の合意があればよく、その土地の所有者の合意まではいらないということである。ただし、この場合、合意をしていない土地の所有者には、建築協定の効力は及ばない。
(4) 建築協定の認可
建築協定の認可の申請が所定の条件を満たしているときは、特定行政庁は建築協定を認可し、その旨を公告する。この認可の公告により、建築協定は効力を生じる。
■建築協定の効力
(1) 建築協定の効力
認可の公告のあった建築協定は、その公告のあった日以後に建築協定区域内の土地の所有者等となった者に対しても、その効力が及ぶ。
(2) 建築物の借主の地位
建築協定の目的となっている建築物に関する基準が建築物の借主の権限に係る場合においては、その建築協定については、当該建築物の借主は、土地の所有者等とみなされる。
このような場合、建築協定は、建築物の借主に対しても、その効力が及ぶということである。