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1道路・舗装
■道路・舗装
「道路・舗装」からは、例年4問出題されている。内訳は、例年「アスファルト舗装の施工」から2問(「表層及び基層の施工」から1問、その他から1問)、「アスファルト舗装の破損・補修」から1問、「コンクリート舗装の施工」から1問である。
■アスファルト舗装の施工ー1
(1) アスファルト舗装道路の構造
アスファルト舗装道路は、上層から順に表層、基層、路盤、路床の各層で構成されており、路床の下には路体がある。このうち。表層、基層、路盤までを舗装という。舗装道路を築造する際は、下層から順に施工することになる。
① 表層
表層は、最上部にある層で、交通荷重を下層に分散伝達し、交通の安全性、快適性など、路面の機能を確保する役割を持つ層である。
② 基層
基層は、上層路盤の上にあって、その不陸を補正し、表層に加わる荷重を均一に路盤に伝達する役割を持つ層である。基層を2層以上で構築する場合は、その最下層を基層といい、上の層を中間層という。
③ 路盤
路盤は、路床の上に設けた、アスファルト混合物層やコンクリート版からの荷重を分散させて路床に伝える役割を果たす層である。一般に、上層路盤と下層路盤の2層に分ける。
④ 路床
路床とは、原地盤のうち、舗装の支持力層として構造計算に用いる層である。また、原地盤を改良した場合には、その改良した層を構築路床、その下部を路床(原地盤)といい、この2層をあわせて路床という。
⑤ 路体
路体は、路床の下部にあって、舗装と路床を支持する役割を持つ。
(2) 構築路床の施工
構築路床は、交通荷重を支持する層として適切な支持力と変形抵抗性が求められる。
構築路床の築造工法には、盛土、安定処理工法などがある。
① 盛土
盛土は、良質土を現地盤の上に盛り上げて路床を構築する工法である。
盛土の施工にあたっての留意点は、次のとおりである。
(a) 盛土路床の1層の敷均し厚さは仕上り厚で20㎝以下を目安とする。 (b) 切土路床は、表面から30㎝程度以内に木根、転石などがある場合には、これらを取り除いて仕上げる。 |
② 安定処理工法
安定処理工法は、現位置で軟弱な現状路床土とセメントや石灰などの安定材を均一に混合することで路床土の支持力を改善して路床を構築する工法である。
構築路床の安定処理は、一般に路上混合方式で行う。
安定処理工法の施工にあたっての留意点は、次のとおりである。
(a) 安定材を散布する場合は、散布に先立って現状路床の不陸整正や、必要に応じて雨水対策の仮排水溝の設置などを行う。 (b) 所定量の安定材を散布機械又は人力により均等に散布する。 (c) 散布が終わったら、ロードスタビライザなどの適切な混合機械を用いて、安定材と路床土を所定の深さまでむらなくかき起こし十分に混合する。 (d) 路床の安定材に粒状の生石灰を用いる場合には、1回目の混合が終了したのち仮転圧して放置し、生石灰の消化を待ってから再び混合する。 (e) 混合が終了した安定処理土は、タイヤローラなどによる仮転圧を行い、次にモータグレーダなどにより所定の形状に整形した後、タイヤローラなどにより締め固める。 |
Point1 安定処理工法では、原則として、路床の安定処理を中央プラントで行うことはない。
Point2 安定材として粒状の生石灰を用いる場合は、混合させたのち仮転圧し、しばらく放置してから再混合をしなければならない。ただちに再混合をしてはいけない。
【まとめ】安定処理工法に使用する施工機械
混合 |
ロードスタビライザ |
仮転圧 |
タイヤローラ |
整形 |
モータグレーダ |
締固め |
タイヤローラ |
(3) 下層路盤の施工
下層路盤の築造工法には、粒状路盤工法、セメント安定処理工法、石灰安定処理工法がある。
① 粒状路盤工法
粒状路盤工法は、クラッシャラン、クラッシャラン鉄鋼スラグ、砂利あるいは砂などの粒状路盤材料を用いる工法である。
粒状路盤材料の敷均しは一般にモータグレーダで行い、転圧は一般に10~12tのロードローラと8~20tのタイヤローラで行う。
粒状路盤材料を使用した下層路盤の1層の仕上り厚さは20㎝以下を標準とする。
② セメント安定処理工法及び石灰安定処理工法
下層路盤のセメント安定処理工法及び石灰安定処理工法は、在来砂利層などを骨材とし、これに安定材(それぞれセメント又は石灰)を添加して処理した安定処理路盤材料を使用する工法である。
安定処理路盤材料は、一般に路上混合方式で製造される。施工に先立ち在来砂利層などを所定の深さまでかき起こし、安定材を散布、骨材と混合する。
混合が終わったらモータグレーダなどで粗均しを行い、タイヤローラで軽く締め固め、再びモータグレーダなどで所定の形状に整形し、舗装用ローラで転圧し仕上げる。
安定処理工法を使用した下層路盤の1層の仕上り厚さは15~30cmを標準とする。
(4) 上層路盤の施工
上層路盤の築造工法には、粒度調整工法、セメント安定処理工法、石灰安定処理工法、瀝青安定処理工法などがある。
① 粒度調整工法
粒度調整工法は、良好な粒度になるように調整した粒度調整路盤材料を用いる工法である。なお、粒度調整路盤材料には、粒度調整砕石、粒度調整鉄鋼スラグ、水硬性粒度調整鉄鋼スラグなどを用いる。粒度調整路盤材料を使用した上層路盤を粒度調整路盤という。
粒度調整路盤は、材料分離に留意しながら粒度調整路盤材料を均一に敷き均し、締め固めて仕上げ、1層の仕上り厚さは15㎝以下を標準とする。
② セメント安定処理工法及び石灰安定処理工法
セメント安定処理工法及び石灰安定処理工法は、骨材に安定材(それぞれセメント又は石灰)を添加して処理した安定処理路盤材料を使用する工法である。
安定処理路盤材料は中央混合方式又は路上混合方式により製造し、均一に敷き均した後、締め固めて仕上げる。
上層路盤のセメント安定処理工法及び石灰安定処理工法の施工にあたっての留意点は、次のとおりである。
(a) 一層の仕上り厚さは10~20cmを標準とする。 (b) 敷き均した路盤材料は、すみやかに締め固める。なお、セメント安定処理路盤材料の場合は、硬化が始まる前までに締固めを完了する。 (c) 石灰安定処理路盤材料の締固めは最適含水比よりやや湿潤状態で行う。 |
③ 瀝青安定処理工法
瀝青安定処理工法は、骨材に瀝青材料を添加して処理する工法である。瀝青材料は、舗装用石油アスファルトを用いてアスファルトプラントにおいて加熱混合方式により処理する工法が最も一般的で、これを加熱アスファルト安定処理工法という。
加熱アスファルト安定処理工法には、一層の仕上がり厚さを10㎝以下で行う工法〔一般工法〕と、それを超えた厚さで仕上げる工法〔シックリフト工法〕とがある。
■アスファルト舗装の施工ー2
(5) 基層及び表層の施工
アスファルト舗装の基層及び表層には、加熱アスファルト混合物を用いる。
① タックコート
タックコートは、瀝青材料を所定量均一に散布して養生する。タックコートには、通常アスファルト乳剤(PK-4)を用い、タックコートの散布量は、一般に0.3~0.6ℓ/㎡が標準である。
タックコートの目的は、新たに舗設する加熱アスファルト混合物とその下層との付着をよくすることである。
Point アスファルト混合物を舗設する前に下層〔基層、中間層又は瀝青安定処理路盤〕面上に散布するのは、タックコートである。プライムコートではない。
② 敷均し
加熱アスファルト混合物は、よく清掃した運搬車を用い、温度低下を防ぐため保温シートなどで覆い品質変化しないように運搬する。なお、アスファルト混合物の現場到着温度は、一般に140~150℃程度とする。
現場に到着した加熱アスファルト混合物は、通常アスファルトフィニッシャにより、ただちに均一な厚さに敷き均す。フィニッシャが使用できない個所などにおいては、人力によって行う。
施工にあたっては、次の点に留意する。
(a) 敷均し時の混合物の温度は、一般に110℃を下回らないようにする。 (b) 敷均し作業中に雨が降り始めた場合には、敷均し作業を中止するとともに、敷き均した混合物を速やかに締め固めて仕上げる。 |
③ 締固め
混合物は、敷均し終了後、所定の密度が得られるように締め固める。締固め作業は、継目転圧、初転圧、二次転圧及び仕上げ転圧の順序で行う。
転圧を行うローラは、一般に横断勾配の低い方から高い方へ向かい、低速でかつ一定の速度で転圧する。
(a) 初転圧
初転圧は、一般に10~12tのロードローラで2回(1往復)程度行う。
初転圧は、ヘアクラックの生じない限りできるだけ高い舗設温度で行い、初転圧の転圧温度は、一般に110~140℃である。
初転圧における、ロードローラヘの混合物の付着防止には、ローラに少量の水又は軽油などを薄く塗布するとよい。
Point 加熱アスファルト混合物の締固め温度は、高いほうがよいが、高すぎるとヘアクラックや変形などを起こすことがある。
(b) 二次転圧
二次転圧は、一般に8~20tのタイヤローラで行うが、6~10tの振動ローラを用いることもある。
二次転圧の終了温度は一般に70℃~90℃である。
(c) 仕上げ転圧
仕上げ転圧は、締め固めた舗装表面の不陸修正、ローラマークの消去のため行うものであり、タイヤローラ又はロードローラを用いて2回(1往復)程度行うとよい。なお、二次転圧に振動ローラを用いた場合には、仕上げ転圧にタイヤローラを用いることが望ましい。
【まとめ】アスファルト舗装の施工の各工程における舗設機械の種類
敷均し |
アスファルトフィニッシャ |
|
締固め |
初転圧 |
ロードローラ |
二次転圧 |
タイヤローラ又は振動ローラ |
|
仕上げ転圧 |
タイヤローラ又はロードローラ |
Point アスファルト混合物の締固めにタンピングローラを使用することはない。
④ 継目
施工継目はその方向により横継目と縦継目とがある。
施工継目は、舗装の弱点となりやすいので、原則として、上下層の継目が同じ位置で重ならないようにする。また、密度が小さくなりやすく、段差やひび割れが生じやすいので十分締め固めて密着させる。
引用:日本道路協会編『舗装施工便覧(平成18年版)』114頁(日本道路協会、2006)
⑤ 交通解放温度
転圧終了後の交通開放は、舗装表面の温度がおおむね50℃以下となってから行う。こうすることで、初期のわだち掘れや変形を少なくすることができる。
【まとめ】アスファルト舗装の各施工段階におけるアスファルト混合物の温度
現場到着温度 |
140~150℃程度 |
敷均し時 |
110℃を下回らない |
初転圧の転圧温度 |
110~140℃ |
二次転圧の終了温度 |
70~90℃ |
交通解放の舗装表面温度 |
50℃以下 |