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1土工

堀川 寿和2022/03/28 10:08

土工

 「土工」からは、例年4問出題されている。最近は、「土質調査」、「建設機械」、「盛土工」、「軟弱地盤の改良工法」から各1問が出題されている。

土工・土構造物の種類

 土砂を切り取り、運搬し、盛り立てる作業を土工という。また、土又は地盤で形成される構造物を土構造物という。土構造物は土工によって築造される。

 

(1) 切土工・切土

 原地盤を切り取る作業を「切土工」(又は掘削工)という。また、原地盤を切り取って造成された土構造物は「切土」とよばれる。

 

(2) 盛土工・盛土

 原地盤上に土砂などを盛り立てる作業を「盛土工」という。また、原地盤上に土砂などを盛り立てて築造された土構造物は「盛土」とよばれる。

 

(3) のり面

 切土や盛土によってできる傾斜面を「のり面」〔法面〕という。

土質調査ー1

 土質調査は、土工の計画、設計、施工、維持管理に必要な資料を得るために実施するものである。

 土質調査には、施工現場で地盤の強さなどを調べる原位置試験と、現場から採取(サンプリング)した試料について試験室で圧密特性・密度などを調べる土質試験〔室内試験がある。

 

(1) 原位置試験

 原位置試験とは、土の物理的、力学的性質をサンプリングせずに直接地盤中で調べる試験である。

 おもな原位置試験は、次のとおり。

試験の名称

試験結果から

求められるもの

試験結果の利用

土の密度試験砂置換法、コアカッター法、又はRI計器による方法

湿潤密度 ρt

乾燥密度 ρd

土の締まり具合の判定

土の締固め管理

サウンディング調査

標準貫入試験

N

土の硬軟、締まり具合の判定

スクリューウエイト貫入試験スウェーデン式サウンディング試験

静的貫入抵抗

WSW及びNSW

土の硬軟、締まり具合の判定

ポータブルコーン貫入試験

貫入抵抗

コーン指数 qc

施工機械のトラフィカビリティの判定

機械式コーン貫入試験

オランダ式二重管コーン貫入試験

貫入抵抗

コーン指数 qc

土の硬軟、締まり具合の判定

ベーン試験

粘着力 c

細粒土の斜面や基礎地盤の安定計算

平板載荷試験

地盤反力係数 K

締固めの施工管理

現場CBR試験

CBR(支持力値)

締固めの施工管理

現場透水試験

透水係数 k

透水関係の設計計算

地盤改良工法の設計

弾性波探査

地盤の弾性波速度 V

地層の種類、性質

成層状況の推定

電気探査

地盤の比抵抗値

地下水の状態の推定

 

① 土の密度試験(現場密度試験)

 土の密度試験は、現場において、地山や盛土の単位体積当たりの質量(現場密度)を求めるための試験である。土の締まり具合の判定土の締固め管理に利用される。

 土の密度試験には、次のような試験方法がある。

 

(a) 砂置換法

 砂置換法は、現場に1015㎝程度の深さの穴を掘り、掘り出した土の質量を測定するとともに、その穴の中に質量と体積の関係が判明している試験用砂を一定の方法で埋め戻し、穴を満たすのに要した試験用砂の質量から、穴の体積を求め、掘り出した土の単位体積当たりの質量(密度)を測定する方法である。

 

(b) コアカッター法

 コアカッター法は、コアカッターと呼ばれる円筒を地盤に貫入し、土をコアカッターに満たした状態で質量を測定し、土の質量と容量の比から密度を測定する方法である。

 

(c) RI(ラジオアイソトープ)計器による方法

 RI計器による方法は、ラジオアイソトープ(放射性同位体:RI)が放出するガンマ線や中性子線などの放射線の性質を利用するもので、RI計器を用いて湿潤密度乾燥密度含水量などを測定する方法である。

 

② サウンディング試験

 サウンディング試験は、土中にロッドの先端に付けた抵抗体を挿入し、これに貫入、回転、引抜きなどの荷重をかけて、その際の地盤抵抗から地表面下の土の性状を調査する方法である。

 サウンディング試験には、次のような試験方法がある。

 

(a) 標準貫入試験

 標準貫入試験は、ボーリングロッドの先端にサンプラーを取り付け、63.5±0.5kgのハンマーを760±10㎜自由落下させてボーリング孔先端地盤中のサンプラーを300㎜貫入させるのに要する打撃回数(N)を求めるもので、地盤の硬軟、締まり具合の判定、地層の判別に利用される。

 N値は盛土の基礎地盤を評価する上でも有益な指標であるが、砂質土でN30以上、粘性土でN20以上で非常に密な地盤判定に分類される。

 また、N値はデータの蓄積が多いことから、砂質地盤では砂の相対密度の、粘性土地盤では粘土のコンシステンシーの推定に用いられる。N値と砂の相対密度、粘土のコンシステンシーとの関係は、次のとおり。

土質

N

相対密度

土質

N

コンシステンシー

04

410

1030

3050

50以上

非常にゆるい

ゆるい

中位の

密な

非常に密な

粘土

2以下

24

48

815

1530

30以上

非常に軟らかい

軟らかい

中位の

硬い

非常に硬い

固結した

 

引用:『土木施工管理技術テキスト 土木一般編(改訂第2版)』13頁(地域開発研究所、2020

 

Point1 標準貫入試験によって求められるN値は動的貫入抵抗値である。静的貫入抵抗値ではない。

Point2 標準貫入試験は、支持層の位置の判定砂質地盤の内部摩擦角の推定地盤の支持力の推定にも利用することができる。