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1排泄に関わる部位に作用する薬

U222022/03/24 15:14

痔の薬

 

1)痔の発症と対処、痔疾用薬の働き

痔は、肛門付近の血管が鬱血し、肛門に負担がかかることによって生じる肛門の病気の総称で、その主な病態としては、痔核、裂肛(れっこう)、痔瘻(じろう)がある。

痔核は、肛門に存在する細かい血管群が部分的に拡張し、肛門内にいぼ状の腫れが生じたもので、一般に「いぼ痔」と呼ばれる。便秘や長時間同じ姿勢でいる等、肛門部に過度の圧迫をかけることが、痔核を生じる主な要因とされる。直腸粘膜と皮膚の境目となる歯状線より上部の、直腸粘膜にできた痔核を内痔核と呼ぶ。直腸粘膜には知覚神経が通っていないため、自覚症状が少ないことが特徴である。排便時に、肛門から成長した痔核がはみ出る脱肛、出血等の症状が現れる。一方、歯状線より下部の、肛門の出口側にできた痔核を外痔核と呼ぶ。内痔核と異なり、排便と関係なく、出血や患部の痛みを生じる。

裂肛は、肛門の出口からやや内側の上皮に傷が生じた状態であり、一般に、「切れ痔」(又は「裂け痔」)と呼ばれる。裂肛は、便秘等により硬くなった糞便を排泄する際や、下痢の便に含まれる多量の水分が肛門の粘膜に浸透して炎症を起こしやすくなった状態で、勢いよく便が通過する際に粘膜が傷つけられることで生じる。

痔瘻は、肛門内部に存在する肛門腺窩(せんか)と呼ばれる小さなくぼみに糞便の滓(かす)が溜まって炎症・化膿を生じた状態で、体力低下等により抵抗力が弱まっているときに起こりやすい。炎症・化膿が進行すると、肛門周囲の皮膚部分から膿(うみ)が溢れ、その膿により周辺部の皮膚がかぶれ、赤く腫れて激痛を生じる。

痔は、肛門部に過度の負担をかけることやストレス等により生じる生活習慣病である。長時間座るのを避け、軽い運動によって血行を良くすることが痔の予防につながる。また、食物繊維の摂取を心がける等、便秘を避けることや香辛料などの刺激性のある食べ物を避けることなども痔の予防に効果的である。

一般用医薬品の痔疾(じしつ)用薬には、肛門部又は直腸内に適用する外用薬(外用痔疾用薬)と内服して使用する内用薬(内用痔疾用薬)がある。いずれもその使用と併せて、痔を生じた要因となっている生活習慣の改善等が図られることが重要である。

外用痔疾用薬は、痔核(いぼ痔)又は裂肛(切れ痔)による痛み、痒み、腫れ、出血等の緩和、患部の消毒を目的とする坐剤、軟膏剤(注入軟膏を含む。)又は外用液剤である。

内用痔疾用薬は、比較的緩和な抗炎症作用、血行改善作用を目的とする成分のほか、瀉下・整腸成分等が配合されたもので、外用痔疾用薬と併せて用いると効果的なものである。

 

2)代表的な配合成分等、主な副作用

 外用痔疾用薬

外用痔疾用薬は局所に適用されるものであるが、坐剤及び注入軟膏では、成分の一部が直腸粘膜から吸収されて循環血流中に入りやすく、全身的な影響を生じることがあるため、配合成分によっては注意を要する場合がある。

坐剤及び注入軟膏の用法に関連した注意に関する出題については、-4(その他の消化器官用薬)を参照して作成のこと。

 

a)局所麻酔成分

局所麻酔成分は、皮膚や粘膜などの局所に適用されると、その周辺の知覚神経に作用して刺激の伝達を可逆的に遮断する作用を示す。痔に伴う痛み・痒みを和らげることを目的として、リドカイン、リドカイン塩酸塩、アミノ安息香酸エチル、ジブカイン塩酸塩、プロカイン塩酸塩等の局所麻酔成分が用いられる。

リドカイン、リドカイン塩酸塩、アミノ安息香酸エチル又はジブカイン塩酸塩が配合された坐剤及び注入軟膏では、まれに重篤な副作用としてショック(アナフィラキシー)を生じることがある。

b)鎮痒(ちんよう)成分

 抗ヒスタミン成分

痔に伴う痒みを和らげることを目的として、ジフェンヒドラミン塩酸塩、ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミンマレイン酸塩等の抗ヒスタミン成分が配合されている場合がある。外用薬で用いられる抗ヒスタミン成分に関する出題については、(皮膚に用いる薬)を参照して作成のこと。

ジフェンヒドラミン塩酸塩又はジフェンヒドラミンが配合された坐剤及び注入軟膏における留意点に関する出題については、(内服アレルギー用薬)を参照して作成のこと。

 局所刺激成分

局所への穏やかな刺激によって痒みを抑える効果を期待して、熱感刺激を生じさせるクロタミトン、冷感刺激を生じさせるカンフル、ハッカ油(シソ科ハッカの地上部を水蒸気蒸留して得た油を冷却、固形分を除去した精油)、メントール等が配合されている場合がある。

c)抗炎症成分

 ステロイド性抗炎症成分

痔による肛門部の炎症や痒みを和らげる成分として、ヒドロコルチゾン酢酸エステル、プレドニゾロン酢酸エステル等のステロイド性抗炎症成分が配合されている場合がある。ステロイド性抗炎症成分を含有する医薬品に共通する留意点等に関する出題については、(皮膚に用いる薬)を参照して作成のこと。なお、ステロイド性抗炎症成分が配合された坐剤及び注入軟膏では、その含有量によらず長期連用を避ける必要がある。

 グリチルレチン酸、リゾチーム塩酸塩

比較的緩和な抗炎症作用を示す成分として、グリチルレチン酸やリゾチーム塩酸塩が配合されている場合がある。グリチルレチン酸はグリチルリチン酸が分解されてできる成分で、グリチルリチン酸と同様に作用する。

これらの成分が配合された坐剤及び注入軟膏における留意点に関する出題については、-1(かぜ薬)を参照して作成のこと。

d)組織修復成分

痔による肛門部の創傷の治癒を促す効果を期待して、アラントイン、アルミニウムクロルヒドロキシアラントイネート(別名アルクロキサ)のような組織修復成分が用いられる。

e)止血成分

 アドレナリン作動成分

血管収縮作用による止血効果を期待して、テトラヒドロゾリン塩酸塩、メチルエフェドリン塩酸塩、エフェドリン塩酸塩、ナファゾリン塩酸塩等のアドレナリン作動成分が配合されていることがある。

メチルエフェドリン塩酸塩が配合された坐剤及び注入軟膏については、交感神経系に対する刺激作用によって心臓血管系や肝臓でのエネルギー代謝等にも影響を生じることが考えられ、心臓病、高血圧、糖尿病又は甲状腺機能障害の診断を受けた人では、症状を悪化させるおそれがあり、使用する前にその適否につき、治療を行っている医師又は処方薬の調剤を行った薬剤師に相談がなされるべきである。高齢者では、心臓病や高血圧、糖尿病の基礎疾患がある場合が多く、また、一般的に心悸亢進(しんきこうしん)や血圧上昇、血糖値上昇を招きやすいので、使用する前にその適否を十分考慮し、使用する場合にはそれらの初期症状等に常に留意する等、慎重な使用がなされることが重要である。

 収斂(しゅうれん)保護止血成分

粘膜表面に不溶性の膜を形成することによる、粘膜の保護・止血を目的として、タンニン酸、酸化亜鉛、硫酸アルミニウムカリウム、卵黄油等が配合されている場合がある。

タンニン酸については、ロートエキス・タンニン坐剤や複方ロートエキス・タンニン軟膏のように、鎮痛鎮痙作用を示すロートエキスと組み合わせて用いられることもある。ロートエキスが配合された坐剤及び注入軟膏における留意点に関する出題については、-3(胃腸鎮痛鎮痙薬)を参照して作成のこと。

f)殺菌消毒成分

痔疾患に伴う局所の感染を防止することを目的として、クロルヘキシジン塩酸塩、セチルピリジニウム塩化物、ベンザルコニウム塩化物、デカリニウム塩化物、イソプロピルメチルフェノール等の殺菌消毒成分が配合されている場合がある。

セチルピリジニウム塩化物、ベンザルコニウム塩化物、デカリニウム塩化物の殺菌消毒作用に関する出題については、(鼻に用いる薬)を参照して作成のこと。

クロルヘキシジン塩酸塩、イソプロピルメチルフェノールの殺菌消毒作用に関する出題については、(皮膚に用いる薬)を参照して作成のこと。

g)生薬成分

 シコン

ムラサキ科のムラサキの根を基原とする生薬で、新陳代謝促進、殺菌、抗炎症等の作用を期待して用いられる。

 セイヨウトチノミ(セイヨウトチノキ種子)

トチノキ科のセイヨウトチノキ(マロニエ)の種子を基原とする生薬で、血行促進、抗炎症等の作用を期待して用いられる。

h)その他:ビタミン成分

肛門周囲の末梢血管の血行を改善する作用を期待してビタミンE(トコフェロール酢酸エステル)、傷の治りを促す作用を期待してビタミンA油等が配合されている場合がある。

 

 内用痔疾用薬

内用痔疾用薬は、生薬成分を中心として、以下のような成分を組み合わせて配合されている。

a)生薬成分

痔に伴う症状の緩和を目的として、センナ(又はセンノシド)、ダイオウ、カンゾウ、ボタンピ、トウキ、サイコ、オウゴン、セイヨウトチノミ、カイカ、カイカク等の生薬成分が配合されている場合がある。

センナ(又はセンノシド)、ダイオウが配合された医薬品に共通する留意点に関する出題については、-2(腸の薬)を参照して作成のこと。

カンゾウが配合された医薬品に共通する留意点に関する出題については、-1(咳止め・痰を出しやすくする薬)参照して作成のこと。

ボタンピについては-2(解熱鎮痛薬)、トウキについては(婦人薬)、サイコについてはⅩⅣ-2(その他の生薬製剤)を、それぞれ参照して問題作成のこと。

 オウゴン、セイヨウトチノミ

オウゴンはシソ科のコガネバナの周皮を除いた根を基原とする生薬、セイヨウトチノミはトチノキ科のセイヨウトチノキ(マロニエ)の種子を用いた生薬で、いずれも主に抗炎症作用を期待して用いられる。

 カイカ、カイカク

カイカはマメ科のエンジュの蕾(つぼみ)を基原とする生薬、カイカクはマメ科のエンジュの成熟果実を基原とする生薬で、いずれも主に止血効果を期待して用いられる。

b)抗炎症成分

リゾチーム塩酸塩などの抗炎症成分が配合されている場合がある。これら成分に関する出題については、-1(かぜ薬)を参照して作成のこと。

c)止血成分

カルバゾクロムは、毛細血管を補強、強化して出血を抑える働きがあるとされ、止血効果を期待して配合されている場合がある。

d)その他:ビタミン成分

肛門周囲の末梢血管の血行を促して、鬱血を改善する効果を期待して、ビタミンE(トコフェロール酢酸エステル、トコフェロールコハク酸エステル等)が配合されている場合がある。

 

 漢方処方製剤

乙字湯(おつじとう)、芎帰膠艾湯(きゅうききょうがいとう)のいずれも、構成生薬としてカンゾウを含む。カンゾウを含む医薬品に共通する留意点に関する出題については、-1(咳止め・痰を出しやすくする薬)を参照して作成のこと。

また、いずれも比較的長期間(1ヶ月位)服用されることがあり、その場合に共通する留意点に関する出題については、ⅩⅣ-1(漢方処方製剤)を参照して問題作成のこと。

a)乙字湯(おつじとう)

体力中等度以上で大便が硬く、便秘傾向のあるものの痔核(いぼ痔)、切れ痔、便秘、軽度の脱肛に適すとされるが、体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)、胃腸が弱く下痢しやすい人では、悪心・嘔吐、激しい腹痛を伴う下痢等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。

通常、構成生薬としてダイオウを含み、その留意点に関する出題については、-2(腸の薬)を参照して作成のこと。

まれに重篤な副作用として、肝機能障害、間質性肺炎を生じることが知られている。

短期間の使用に限られるものでないが、切れ痔、便秘に用いる場合には、5~6日間服用して症状の改善がみられないときは、いったん使用を中止して専門家に相談がなされるなどの対応が必要である。

b)芎帰膠艾湯(きゅうききょうがいとう)

体力中等度以下で冷え症で、出血傾向があり胃腸障害のないものの痔出血、貧血、月経異常・不正出血、皮下出血に適すとされるが、胃腸が弱く下痢しやすい人では、胃部不快感、腹痛、下痢等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。

短期間の使用に限られるものでないが、1週間位服用して症状の改善がみられないときは、いったん使用を中止して専門家に相談がなされるなどの対応が必要である。

 

3)相互作用、受診勧奨

【相互作用】 外用痔疾薬のうち坐剤及び注入軟膏については、成分の一部が直腸で吸収されて循環血流中に入り、内服の場合と同様の影響を生じることがある。そのため、痔疾用薬の成分と同種の作用を有する成分を含む内服薬や医薬部外品、食品等が併用されると、効き目が強すぎたり、副作用が現れやすくなることがある。

内用痔疾用薬では生薬成分を主体とした製剤や漢方処方製剤が中心となるが、漢方処方製剤、生薬成分が配合された医薬品における相互作用に関する一般的な事項については、ⅩⅣ(漢方処方製剤・生薬製剤)を参照して問題作成のこと。

 

【受診勧奨】 一般の生活者においては、痔はその発症部位から恥ずかしい病気として認識されている場合が多く、不確かな情報に基づく誤った対処がなされたり、放置して症状を悪化させてしまうことがある。

肛門部にはもともと多くの細菌が存在しているが、肛門の括約筋によって外部からの細菌の侵入を防いでおり、血流量も豊富なため、それらの細菌によって感染症を生じることはあまりない。しかし、痔の悪化等により細菌感染が起きると、異なる種類の細菌の混合感染が起こり、膿瘍や痔瘻(じろう)を生じて周囲の組織に重大なダメージをもたらすことがある。これらの治療には手術を要することもあり、すみやかに医療機関を受診し、専門医の診療を受ける必要がある。

痔の原因となる生活習慣の改善を図るとともに、一定期間、痔疾用薬を使用してもなお、排便時の出血、痛み、肛門周囲の痒み等の症状が続く場合には、肛門癌などの重大な病気の症状である可能性も考えられ、早期に医療機関を受診して専門医の診療を受けるなどの対応が必要である。

 

 

その他の泌尿器用薬

1)代表的な配合成分等、主な副作用

a)尿路消毒成分

ウワウルシ(ツツジ科のクマコケモモの葉を基原とする生薬)は、利尿作用のほかに、経口的に摂取した後、尿中に排出される分解代謝物が抗菌作用を示し、尿路の殺菌消毒効果を期待して用いられる。

日本薬局方収載のウワウルシは、煎薬として残尿感、排尿に際して不快感のあるものに用いられる。

b)利尿成分

尿量増加(利尿)作用を期待して、以下のような生薬成分が配合されている場合がある。

 カゴソウ:シソ科のウツボグサの花穂を基原とする生薬

日本薬局方収載のカゴソウは、煎薬として残尿感、排尿に際して不快感のあるものに用いられる。

 キササゲ:ノウゼンカズラ科のキササゲ等の果実を基原とする生薬

 サンキライ:ユリ科のケナシサルトリイバラの塊茎を基原とする生薬

 ソウハクヒ:クワ科のマグワの根皮を基原とする生薬

日本薬局方収載のキササゲ、サンキライ、ソウハクヒは、煎薬として尿量減少に用いられる。

 モクツウ:アケビ科のアケビ又はミツバアケビの蔓(つる)性の茎を、通例、横切りしたものを基原とする生薬

 ブクリョウ:ⅩⅣ-2(その他の生薬製剤)を参照。

 

 漢方処方製剤

いずれも比較的長期間(1ヶ月位)使用されることがあり、その場合の留意点に関する出題については、ⅩⅣ-1(漢方処方製剤)を参照して作成のこと。

a)牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)

体力中等度以下で、疲れやすくて、四肢が冷えやすく尿量減少し、むくみがあり、ときに口渇があるものの下肢痛、腰痛、しびれ、高齢者のかすみ目、痒み、排尿困難、頻尿、むくみ、高血圧に伴う随伴症状の改善(肩こり、頭重、耳鳴り)に適すとされるが、胃腸が弱く下痢しやすい人、のぼせが強く赤ら顔で体力の充実している人では、胃部不快感、腹痛、のぼせ、動悸等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。

まれに重篤な副作用として、肝機能障害、間質性肺炎を生じることが知られている。

b)八味地黄丸(はちみじおうがん)

体力中等度以下で、疲れやすくて、四肢が冷えやすく、尿量減少又は多尿でときに口渇があるものの下肢痛、腰痛、しびれ、高齢者のかすみ目、痒み、排尿困難、夜間尿、頻尿、むくみ、高血圧に伴う随伴症状の改善(肩こり、頭重、耳鳴り)、尿漏れに適すとされるが、胃腸の弱い人、下痢しやすい人では、食欲不振、胃部不快感、腹痛、下痢の副作用が現れるおそれがあるため使用を避ける必要があり、また、のぼせが強く赤ら顔で体力の充実している人では、のぼせ、動悸等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。

c)六味丸(ろくみがん)

体力中等度以下で、疲れやすくて尿量減少又は多尿で、ときに手足のほてり、口渇があるものの排尿困難、残尿感、頻尿、むくみ、痒み、夜尿症、しびれに適すとされるが、胃腸が弱く下痢しやすい人では、胃部不快感、腹痛、下痢等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。

d)猪苓湯(ちょれいとう)

体力に関わらず、排尿異常があり、ときに口が渇くものの排尿困難、排尿痛、残尿感、頻尿、むくみに適すとされる。

e)竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)

体力中等度以上で、下腹部に熱感や痛みがあるものの排尿痛、残尿感、尿の濁り、こしけ(おりもの)、頻尿に適すとされるが、胃腸が弱く下痢しやすい人では、胃部不快感、下痢等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。

構成生薬としてカンゾウを含む。カンゾウを含有する医薬品に共通する留意点に関する出題については、-1(咳(せき)止め・痰(たん)を出しやすくする薬)を参照して作成のこと。

 

2)相互作用、受診勧奨

【相互作用】 漢方処方製剤、生薬成分が配合された医薬品における相互作用に関する一般的な事項について、ⅩⅣ(漢方処方製剤・生薬製剤)を参照して問題作成のこと。

 

【受診勧奨】 残尿感や尿量減少は一時的な体調不良等によるもののほか、泌尿器系の疾患における自覚症状としても現れる。例えば、膀胱炎や前立腺肥大などによっても、そうした症状が起こることがあるが、その場合、一般用医薬品によって対処することは適当でない。

排泄に関わる部位に作用する薬ー問題

【問20】 外用痔疾(じしつ)用薬の配合成分に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

 

a イソプロピルメチルフェノールは、血管収縮作用による止血効果を期待して用いられる。

b テトラヒドロゾリン塩酸塩は、粘膜表面に不溶性の膜を形成することによる粘膜の保護・止血を目的として配合され、ロートエキスと組み合わせて用いられることがある。

c ジブカイン塩酸塩が配合された坐剤(ざざい)及び注入軟膏(なんこう)では、まれに重篤な副作用としてショック(アナフィラキシー)を生じることがある。

d プレドニゾロン酢酸エステルが配合された坐剤及び注入軟膏では、その含有量によらず長期連用を避ける必要がある。

 

1(ab)

2(ac)

3(bc)

4(bd)

5(cd)

 

 

【問21】 次の記述にあてはまる内用痔疾用薬として用いられる漢方処方製剤はどれか。

 

体力中等度以上で大便が硬く、便秘傾向のあるものの痔核(いぼ痔)、切れ痔、便秘、軽度の脱肛に適すとされるが、体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)、胃腸が弱く下痢しやすい人では、悪心・嘔吐(おうと)、激しい腹痛を伴う下痢等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。

 

1 牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)

2 八味地黄丸(はちみじおうがん)

3 乙字湯(おつじとう)

4 竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)

5 猪苓湯(ちょれいとう)