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1精神神経に作用する薬

U222022/03/24 13:24

精神神経に作用する薬

 

「かぜ薬」を学ぶまでの学習の順番

 

解熱鎮痛成分鎮咳去痰成分抗アレルギー成分その他の成分かぜ薬

 

かぜ薬ー1

1)かぜの諸症状、かぜ薬の働き

「かぜ」(感冒)の症状は、くしゃみ、鼻汁・鼻閉(鼻づまり)、咽喉頭痛、咳、痰等の呼吸器症状と、発熱、頭痛、関節痛、全身倦怠感等、様々な全身症状が組み合わさって現れる。「かぜ」は単一の疾患ではなく、医学的にはかぜ症候群といい、主にウイルスが鼻や喉などに感染して起こる上気道の急性炎症の総称で、通常は数日~1週間程度で自然寛解し、予後は良好である。

かぜの約8割はウイルス(ライノウイルス、コロナウイルス、アデノウイルスなど)の感染が原因であるが、それ以外に細菌の感染や、まれに冷気や乾燥、アレルギーのような非感染性の要因による場合もある。原因となるウイルスは、200種類を超えるといわれており、それぞれ活動に適した環境があるため、季節や時期などによって原因となるウイルスや細菌の種類は異なる。

かぜとよく似た症状が現れる疾患に、喘息、アレルギー性鼻炎、リウマチ熱、関節リウマチ、肺炎、肺結核、髄膜炎、急性肝炎、尿路感染症等多数がある。急激な発熱を伴う場合や、症状が4日以上続くとき、又は症状が重篤なときは、かぜではない可能性が高い。発熱や頭痛を伴って悪心・嘔吐や、下痢等の消化器症状が現れることもあり、俗に「お腹にくるかぜ」などと呼ばれるが、冬場にこれらの症状が現れた場合はかぜではなく、ウイルスが消化器に感染したことによるウイルス性胃腸炎である場合が多い。

インフルエンザ(流行性感冒)は、かぜと同様、ウイルスの呼吸器感染によるものであるが、感染力が強く、また、重症化しやすいため、かぜとは区別して扱われる。

かぜ薬とは、かぜの諸症状の緩和を目的として使用される医薬品の総称であり、総合感冒薬とも呼ばれる。かぜは、生体に備わっている免疫機構によってウイルスが消滅すれば自然に治癒する。したがって、安静にして休養し、栄養・水分を十分に摂ることが基本である。かぜ薬は、ウイルスの増殖を抑えたり、ウイルスを体内から除去するものではなく、咳で眠れなかったり、発熱で体力を消耗しそうなときなどに、それら諸症状の緩和を図る対症療法薬である。

なお、かぜであるからといって必ずしもかぜ薬(総合感冒薬)を選択するのが最適とは限らない。発熱、咳、鼻水など症状がはっきりしている場合には、症状を効果的に緩和させるため、解熱鎮痛薬、鎮咳去痰(ちんがいきょたん)薬、鼻炎を緩和させる薬などを選択することが望ましい。存在しない症状に対する不要な成分が配合されていると、無意味に副作用のリスクを高めることとなる。

 

2)主な配合成分等

a) 発熱を鎮め、痛みを和らげる成分(解熱鎮痛成分)

かぜ薬に配合される主な解熱鎮痛成分としては、アスピリン、サリチルアミド、エテンザミド、アセトアミノフェン、イブプロフェン、イソプロピルアンチピリン等がある。解熱作用がある生薬成分としてジリュウが配合されている場合もある。また、ショウキョウ、ケイヒ等が、他の解熱鎮痛成分と組み合わせて配合されている場合もある。これら成分に関する出題については、-2(解熱鎮痛薬)を参照して作成のこと。

このほか、解熱作用を期待してゴオウ、カッコン、サイコ、ボウフウ、ショウマ等、鎮痛作用を期待してセンキュウ、コウブシ等の生薬成分が配合されている場合もある。ゴオウに関する出題については、-1(強心薬)、センキュウ、コウブシに関する出題については、(婦人薬)を参照して作成のこと。カッコン、サイコ、ボウフウ、ショウマに関する出題については、ⅩⅣ-2(その他の生薬製剤)を参照して作成のこと。

なお、サリチルアミド、エテンザミドについては、15歳未満の小児で水痘(すいとう)(=水疱瘡)又はインフルエンザにかかっているときは使用を避ける必要があるが、一般の生活者にとっては、かぜとインフルエンザとの識別は必ずしも容易でない。医薬品の販売等に従事する専門家においては、インフルエンザ流行期等、必要に応じて購入者等に対して積極的に注意を促したり、解熱鎮痛成分がアセトアミノフェンや生薬成分のみからなる製品の選択を提案したりする等の対応を図ることが重要である。

b) くしゃみや鼻汁を抑える成分(抗ヒスタミン成分、抗コリン成分)

かぜ薬に配合される主な抗ヒスタミン成分に、クロルフェニラミンマレイン酸塩、カルビノキサミンマレイン酸塩、メキタジン、クレマスチンフマル酸塩、ジフェンヒドラミン塩酸塩等がある。また、抗コリン作用によって鼻汁分泌やくしゃみを抑えることを目的としてベラドンナ総アルカロイドやヨウ化イソプロパミドが配合されている場合もある。これら成分に関する出題については、(内服アレルギー用薬)を参照して作成のこと。

c) 鼻粘膜の充血を和らげ、気管・気管支を拡げる成分(アドレナリン作動成分)

かぜ薬に配合される主なアドレナリン作動成分に、メチルエフェドリン塩酸塩、メチルエフェドリンサッカリン塩、プソイドエフェドリン塩酸塩等がある。これらと同様の作用を示す生薬成分として、マオウが配合されている場合もある。いずれの成分も依存性があることに留意する必要がある。

メチルエフェドリン塩酸塩、メチルエフェドリンサッカリン塩及びマオウに関する出題については、-1(咳(せき)止め・痰を出しやすくする薬)、プソイドエフェドリン塩酸塩に関する出題については、(内服アレルギー用薬)を参照して作成のこと。

d) 咳を抑える成分(鎮咳成分)

かぜ薬に配合される主な鎮咳成分に、コデインリン酸塩、ジヒドロコデインリン酸塩、デキストロメトルファン臭化水素酸塩、ノスカピン、チペピジンヒベンズ酸塩、クロペラスチン塩酸塩等がある。鎮咳作用を目的として、ナンテンジツ等の生薬成分が配合されている場合もある。これら成分に関する出題については、-1(咳(せき)止め・痰(たん)を出しやすくする薬)を参照して作成のこと。

なお、これらのうちコデインリン酸塩及びジヒドロコデインリン酸塩は、依存性がある成分であることに留意する必要がある。

e)痰の切れを良くする成分(去痰成分)

かぜ薬に配合される主な去痰(たん)成分に、グアイフェネシン、グアヤコールスルホン酸カリウム、ブロムヘキシン塩酸塩、エチルシステイン塩酸塩等がある。去痰作用を目的として、シャゼンソウ、セネガ、キキョウ、セキサン、オウヒ等の生薬成分が配合されている場合もある。これら成分に関する出題については、-1(咳止め・痰を出しやすくする薬)を参照して作成のこと。

f) 炎症による腫れを和らげる成分(抗炎症成分)

鼻粘膜や喉の炎症による腫れを和らげることを目的として、セミアルカリプロティナーゼ、ブロメライン、グリチルリチン酸二カリウム等が配合されている場合がある。

 セミアルカリプロティナーゼ、ブロメライン

いずれもタンパク質分解酵素で、体内で産生される炎症物質(起炎性ポリペプチド)を分解する作用がある。また、炎症を生じた組織では、毛細血管やリンパ管にフィブリン類似の物質が沈着して炎症浸出物が貯留しやすくなるが、それら沈着物質を分解して浸出物の排出を促し、炎症による腫れを和らげる。

セミアルカリプロティナーゼには、痰粘液の粘り気を弱めて痰を切れやすくする働きもある。

セミアルカリプロティナーゼ、ブロメラインとも、フィブリノゲンやフィブリンを分解する作用もあり、血液凝固異常のある人では出血傾向を悪化させるおそれがあるので、治療を行っている医師又は処方薬の調剤を行った薬剤師に相談するなどの対応が必要である。なお、血液凝固異常がない場合でも、まれに血痰や鼻血などの出血性の副作用を生じることがある。また、肝機能障害があると代謝や排泄が遅延して、それらの副作用が現れやすくなるため、肝臓病の診断を受けている人の場合は、治療を行っている医師又は処方薬の調剤を行った薬剤師に相談するなどの対応が必要である。

 トラネキサム酸

体内での起炎物質の産生を抑制することで炎症の発生を抑え、腫れを和らげる。ただし、凝固した血液を溶解されにくくする働きもあるため、血栓のある人(脳血栓、心筋梗塞、血栓性静脈炎等)や血栓を起こすおそれのある人に使用する場合は、治療を行っている医師又は処方薬の調剤を行った薬剤師に相談するなどの対応が必要である。

 グリチルリチン酸二カリウム

グリチルリチン酸二カリウムの作用本体であるグリチルリチン酸は、化学構造がステロイド性抗炎症成分((皮膚に用いる薬)参照。)に類似していることから、抗炎症作用を示すと考えられている。

グリチルリチン酸を大量に摂取すると、偽アルドステロン症を生じるおそれがある。むくみ、心臓病、腎臓病又は高血圧のある人や高齢者では偽アルドステロン症を生じるリスクが高いため、それらの人に1日最大服用量がグリチルリチン酸として40mg以上の製品を使用する場合は、治療を行っている医師又は処方薬の調剤を行った薬剤師に相談する等、事前にその適否を十分考慮するとともに、偽アルドステロン症の初期症状に常に留意する等、慎重に使用する必要がある。また、どのような人が対象であっても、1日最大服用量がグリチルリチン酸として40mg以上となる製品は長期連用を避ける。

なお、医薬品ではグリチルリチン酸としての1日摂取量が200mgを超えないよう用量が定められているが、グリチルリチン酸はかぜ薬以外の医薬品にも配合されていることが少なくなく、また、甘味料として一般食品や医薬部外品などにも広く用いられているため、医薬品の販売等に従事する専門家においては、購入者等に対して、グリチルリチン酸の総摂取量が継続して過剰にならないよう注意を促す必要がある。

グリチルリチン酸を含む生薬成分として、カンゾウが配合されている場合もある。カンゾウに関する出題、カンゾウを含有する医薬品に共通する留意点に関する出題については、-1(咳止め・痰を出しやすくする薬)を参照して作成のこと。

 その他

発汗、抗炎症等の作用を目的として、カミツレ(ⅩⅠ-1(歯痛・歯槽膿(のう)漏薬)参照。)等の生薬成分が配合されている場合がある。

g) 漢方処方成分等

かぜ薬に配合される漢方処方成分、又は単独でかぜの症状緩和に用いられる漢方処方製剤の主なものに、葛根湯(かっこんとう)、麻黄湯(まおうとう)、小柴胡湯(しょうさいことう)、柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)、小青竜湯(しょうせいりゅうとう)、桂枝湯(けいしとう)、香蘇散(こうそさん)、半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)、麦門冬湯(ばくもんどうとう)がある。

これらのうち半夏厚朴湯を除くいずれも、構成生薬としてカンゾウを含む。また、これらのうち、麻黄湯のほか、葛根湯と小青竜湯には、構成生薬としてマオウを含む。カンゾウを含有する医薬品に共通する留意点、マオウを含有する医薬品に共通する留意点に関する出題については、-1(咳止め・痰を出しやすくする薬)を参照して作成のこと。

かぜの症状の緩和以外にも用いられる漢方処方製剤(小柴胡湯、柴胡桂枝湯、小青竜湯、麦門冬湯)では、比較的長期間(1ヶ月位)服用されることがあるが、その場合に共通する留意点に関する出題については、ⅩⅣ-1(漢方処方製剤)を参照して作成のこと。

 葛根湯(かっこんとう)

体力中等度以上のものの感冒の初期(汗をかいていないもの)、鼻かぜ、鼻炎、頭痛、肩こり、筋肉痛、手や肩の痛みに適すとされるが、体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)、胃腸の弱い人、発汗傾向の著しい人では、悪心、胃部不快感等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。

まれに重篤な副作用として肝機能障害、偽アルドステロン症を生じることが知られている。

 麻黄湯(まおうとう)

体力充実して、かぜのひきはじめで、寒気がして発熱、頭痛があり、咳が出て身体のふしぶしが痛く汗が出ていないものの感冒、鼻かぜ、気管支炎、鼻づまりに適すとされるが、胃腸の弱い人、発汗傾向の著しい人では、悪心、胃部不快感、発汗過多、全身脱力感等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。漢方処方製剤としての麻黄湯では、マオウの含有量が多くなるため、体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)は使用を避ける必要がある。

 小柴胡湯(しょうさいことう)、柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)

小柴胡湯は、体力中等度で、ときに脇腹(腹)からみぞおちあたりにかけて苦しく、食欲不振や口の苦味があり、舌に白苔がつくものの食欲不振、吐きけ、胃炎、胃痛、胃腸虚弱、疲労感、かぜの後期の諸症状に適すとされ、また、胃腸虚弱、胃炎のような消化器症状にも用いられるが、体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)には不向きとされる。

柴胡桂枝湯は、体力中等度又はやや虚弱で、多くは腹痛を伴い、ときに微熱・寒気・頭痛・吐きけなどのあるものの胃腸炎、かぜの中期から後期の症状に適すとされる。

小柴胡湯、柴胡桂枝湯とも、まれに重篤な副作用として間質性肺炎、肝機能障害を生じることが知られており、その他の副作用として、膀胱炎様症状(頻尿、排尿痛、血尿、残尿感)が現れることもある。

小柴胡湯については、インターフェロン製剤で治療を受けている人では、間質性肺炎の副作用が現れるおそれが高まるため、使用を避ける必要がある。また、肝臓病自体が、間質性肺炎を起こす要因のひとつとされており、肝臓病の診断を受けた人では、治療を行っている医師又は処方薬の調剤を行った薬剤師に相談するなどの対応が必要である。

 小青竜湯(しょうせいりゅうとう)

体力中等度又はやや虚弱で、うすい水様の痰を伴う咳や鼻水が出るものの気管支炎、気管支喘息、鼻炎、アレルギー性鼻炎、むくみ、感冒、花粉症に適すとされるが、体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)、胃腸の弱い人、発汗傾向の著しい人では、悪心、胃部不快感等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。

まれに重篤な副作用として、肝機能障害、間質性肺炎、偽アルドステロン症を生じることが知られている。

 桂枝湯(けいしとう)、香蘇散(こうそさん)

桂枝湯は、体力虚弱で、汗が出るもののかぜの初期に適すとされる。

香蘇散は、体力虚弱で、神経過敏で気分がすぐれず胃腸の弱いもののかぜの初期、血の道症に適すとされる。

 半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)、麦門冬湯(ばくもんどうとう)

これら漢方処方に関する出題については、-1(咳止め・痰を出やすくする薬)を参照して作成のこと。

h) 鎮静成分

解熱鎮痛成分の鎮痛作用を補助する目的で、ブロモバレリル尿素、アリルイソプロピルアセチル尿素等の鎮静成分が配合されている場合がある。

これらの鎮静成分には、いずれも依存性があることに留意する必要がある。(-3(眠気を促す薬)を参照。)

i) 胃酸を中和する成分(制酸成分)

解熱鎮痛成分(生薬成分の場合を除く。)による胃腸障害の軽減を目的として、ケイ酸アルミニウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムゲル等の制酸成分が配合されていることがある。なお、この場合、胃腸薬のように、胃腸症状に対する薬効を標榜することは認められていない。これら成分に関する出題については、-1(胃の薬)を参照して作成のこと。

j) カフェイン類

解熱鎮痛成分(生薬成分の場合を除く。)の配合に伴い、その鎮痛作用を補助する目的で、カフェイン、無水カフェイン、安息香酸ナトリウムカフェイン等が配合されている場合がある。これら成分に関する出題については、-2(解熱鎮痛薬)を参照して問題作成のこと。なお、カフェイン類が配合されているからといって、必ずしも抗ヒスタミン成分や鎮静成分の作用による眠気が解消されるわけではない。

k) その他:ビタミン成分等

かぜの時に消耗しやすいビタミン又はビタミン様物質を補給することを目的として、粘膜の健康維持・回復に重要なビタミンC(アスコルビン酸、アスコルビン酸カルシウム等)、ビタミンB2(リボフラビン、リン酸リボフラビンナトリウム等)、ヘスペリジンや、疲労回復の作用のあるビタミンB1(チアミン硝化物、フルスルチアミン塩酸塩、ビスイブチアミン、チアミンジスルフィド、ベンフォチアミン、ビスベンチアミン等)、アミノエチルスルホン酸(タウリン)等が配合されている場合がある。また、強壮作用等を期待してニンジンやチクセツニンジン等の生薬成分等が配合されている場合もある。これら成分に関する出題については、ⅩⅢ(滋養強壮保健薬)を参照して作成のこと。

かぜ薬ー2

3)主な副作用、相互作用、受診勧奨

【主な副作用】 かぜ薬の重篤な副作用は、配合されている解熱鎮痛成分(生薬成分を除く。)によるものが多い。まれに、ショック(アナフィラキシー)、皮膚粘膜眼症候群、中毒性表皮壊死融解症、喘息、間質性肺炎が起きることがあるが、これらはかぜ薬(漢方処方成分、生薬成分のみから成る場合を除く。)の使用上の注意では、配合成分によらず共通に記載されている。このほか配合成分によっては、まれに重篤な副作用として、肝機能障害、偽アルドステロン症、腎障害、無菌性髄膜炎を生じることがある。

また、その他の副作用として、皮膚症状(発疹・発赤、掻痒感)、消化器症状(悪心・嘔吐、食欲不振)、めまい等のほか、配合成分によっては、眠気や口渇、便秘、排尿困難等が現れることがある。

 

【相互作用】 かぜ薬には、通常、複数の有効成分が配合されているため、他のかぜ薬や解熱鎮痛薬、鎮咳去痰薬、鼻炎用薬、アレルギー用薬、鎮静薬、睡眠改善薬などが併用されると、同じ成分又は同種の作用を持つ成分が重複して、効き目が強くなりすぎたり、副作用が起こりやすくなるおそれがある。

かぜに対する民間療法として、しばしば酒類(アルコール)が用いられるが、アルコールは医薬品の成分の吸収や代謝に影響を与えるため、肝機能障害等の副作用が起こりやすくなる。したがって、かぜ薬の服用期間中は、飲酒を控える必要がある。

カフェイン類が配合されている場合の留意点については、-4(眠気を防ぐ薬)を参照して作成のこと。

 

【受診勧奨】 かぜ薬の使用は、発熱や頭痛・関節痛、くしゃみ、鼻汁・鼻閉(鼻づまり)、咽喉頭痛、咳、痰等の症状を緩和する対症療法である。一定期間又は一定回数使用して症状の改善がみられない場合は、かぜとよく似た症状を呈する別の疾患や細菌感染の合併等が疑われるため、一般用医薬品で対処することは適当でない可能性がある。このような場合には、医薬品の販売等に従事する専門家は、購入者等に対して、漫然とかぜ薬の使用を継続せずに、医療機関を受診するよう促すべきである。特に、かぜ薬の使用後に症状が悪化した場合には、間質性肺炎やアスピリン喘(ぜん)息等、かぜ薬自体の副作用による症状が現れたである可能性もある。

なお、高熱、黄色や緑色に濁った膿性の鼻汁・痰、喉(扁桃)の激しい痛みや腫れ、呼吸困難を伴う激しい咳といった症状がみられる場合は、一般用医薬品によって自己治療を図るのではなく、初めから医療機関での診療を受けることが望ましい。また、慢性の呼吸器疾患、心臓病、糖尿病等の基礎疾患がある人の場合も、基礎疾患の悪化や合併症の発症を避けるため、初めから医療機関を受診することが望ましい。

小児のかぜでは、急性中耳炎を併発しやすい。また、症状が長引くような場合は、医療機関で診療を受けるなどの対応が必要である。また、2歳未満の乳幼児には、医師の診断を受けさせることを優先し、止むを得ない場合にのみ服用させることとされている。