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1労働安全衛生法関係省令

N222022/03/23 11:13

労働安全衛生規則(衛生基準)

有害な業務を行う作業場においては衛生基準として様々な措置が必要とされている。

 

 

(1) 立ち入り禁止

事業者は次の場所には、関係者以外の者が立ち入ることを禁止し、かつ、その旨を見やすい箇所に表示しなければならない。

 

多量の高熱物体を取り扱う場所又は著しく暑熱な場所

多量の低温物体を取り扱う場所又は著しく寒冷な場所

有害な光線又は超音波にさらされる場所

炭酸ガス濃度が1.5を超える場所、酸素濃度が18に満たない場所又は硫化水素濃度が

100万分の1010ppmを超える場所

ガス、蒸気又は粉じんを発散する有害な場所

有害物を取り扱う場所

病原体による汚染のおそれの著しい場所

 

 

(2) 騒音

事業者は強烈な騒音を発する屋内作業場においては、その伝ぱを防ぐため、隔壁を設ける標識によって明示する等必要な措置を講じなければならない。

 

 

(3) 内燃機関の使用禁止

事業者は坑、井筒、潜函(せんかん)、タンク又は船倉の内部その他の場所で、自然換気が不十分なところにおいては、内燃機関を有する機械を使用してはならない

ただし、当該内燃機関の排気ガスによる健康障害を防止するため当該場所を換気するときは、この限りでない。

 

 

(4) ダイオキシン類

事業者は廃棄物の焼却施設作業場について、6か月以内ごとに1、定期に当該作業場における空気中のダイオキシン類の濃度を測定しなければならない。

事業者は業務に係る作業を行うときは、当該作業を開始する前に、当該作業に係る設備の内部に付着した物に含まれるダイオキシン類の含有率を測定しなければならない。

 

 

(5) 温度・湿度調節

事業者は、暑熱、寒冷又は多湿の屋内作業場で、有害のおそれがあるものについては、冷房、暖房、通風等適当な温湿度調節の措置を講じなければならない。

暑熱、寒冷又は多湿の屋内作業場について、半月以内ごとに1、定期に当該屋内作業場における気温、湿度及びふく射熱を測定しなければならない。

屋内作業場に多量の熱を放散する溶融炉等があるときは、加熱された空気を直接屋外に排出し、又はその放射するふく射熱から労働者を保護する措置を講じなければならない。

 

 

(6) 坑内温度

事業者は、坑内における気温を37度以下としなければならない。ただし高温による健康障害を防止するため必要な措置を講じて人命救助又は危害防止に関する作業をさせるときは、この限りでない。

事業者は、坑内の作業場について、半月以内ごとに1、定期に当該作業場における気温を測定しなければならない。

 

 

(7) 休憩設備

事業者は、著しく暑熱、寒冷又は多湿の作業場、有害なガス、蒸気又は粉じんを発散する作業場その他有害な作業場においては、作業場外に休憩の設備を設けなければならない。

ただし、坑内等特殊な作業場でこれによることができないやむを得ない事由があるときは、この限りでない

 

 

(8) 保護具

事業者は、一定の有害業務に係る作業に労働者を従事させるときは、当該作業に従事する労働者に保護衣、保護眼鏡、呼吸用保護具等、適切な保護具を使用させなければならない。

これらの保護具については、同時に就業する労働者の人数と同数以上を備え、常時有効かつ清潔に保持しなければならない。

労働者は、保護具の使用を命じられたときは、当該保護具を使用しなければならない。

 

 

【アウトプット】

10. ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所は、関係者以外の者が立ち入ることを禁止しなければならない場所に該当する。

11. 事業者は強烈な騒音を発する屋内作業場においては、隔壁を設ける、標識によって明示する等、必要な措置を講じなければならない。

 

 

有機溶剤中毒予防規則

 

(1) 有機溶剤の定義

有機溶剤又は有機溶剤と有機溶剤以外の物との混合物で、有機溶剤を当該混合物の重量の5パーセントを超えて含有するものを有機溶剤等という。

有機溶剤中毒予防規則では、有機溶剤を第一種~第三種に区分している。

 

有機溶剤・第一種~第三種区分

 

第一種有機溶剤

(全2物質)

第二種有機溶剤

(全35物質から抜粋)

第三種有機溶剤

(全7物質)

物質例

12‐ジクロルエチレン

二硫化炭素

メタノール

アセトン

トルエン

キシレン

ノルマルヘキサン

酢酸エチル

酢酸メチル

エチルエーテル

クロルベンゼン

ジクロルメタン

スチレン

N.N‐ジメチルホルムアミド

ガソリン

石油エーテル

石油ベンジン

ミネラルスピリット

コールタールナフサ

石油ナフサ

テレビン油

表示色

事業者は、屋内作業場等において有機溶剤業務に労働者を従事させるときは、当該有機溶剤業務に係る有機溶剤等の区分を、作業中の労働者が容易に知ることができるよう、色分け及び色分け以外の方法により、見やすい場所に表示しなければならない。

 

 

(2) 有機溶剤の発散源対策

事業者は、屋内作業場等において、有機溶剤等に係る有機溶剤業務に労働者を従事させるときは、当該有機溶剤業務を行う作業場所に、有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備局所排気装置又はプッシュプル型換気装置を設けなければならない。

 

 

(3) 第一種、第二種有機溶剤に係る設備

屋内作業場において、第一種、第二種有機溶剤業務に係る労働者を従事させる場合には、次の設備を設けなければならない。

有機溶剤の蒸気の発生源を密閉する設備

局所排気装置

プッシュプル型換気装置

これらを設置するのであれば、マスクは不要。

 

 

(4) 第三種有機溶剤に係る設備

全体換気で第三種有機溶剤業務を行うタンク内での作業では、送気マスク有機ガス用防毒マスクが必要となる。

 

 

(5) 有機溶剤等に係る共通設備

有機溶剤等を入れたことのあるタンク内にて、有機溶剤の蒸気が発散するおそれのあるものの業務に従事する労働者に対して、送気マスクが必要となる。

全体換気で行う臨時業務においては、送気マスクか有機ガス用防毒マスクが必要となる。

 

 

(6) 排気口

事業者は、空気清浄装置を設けていない局所排気装置若しくはプッシュプル型換気装置の排気管等の排気口の高さを屋根から1.5m以上としなければならない。ただし、当該排気口から排出される有機溶剤の濃度が厚生労働大臣が定める濃度に満たない場合は、この限りでない。

 

 

(7) 作業環境測定

事業者は、第一種、第二種有機溶剤業務の業務を行う屋内作業場について、6か月以内ごとに1回、定期に、当該有機溶剤の濃度を測定しなければならない。

測定を行ったときは、そのつど記録をしてこれを3年間保存しなければならない。

 

 

(8) 有機溶剤作業主任者

事業者は有機溶剤の作業については、有機溶剤作業主任者技能講習を修了した者のうちから、有機溶剤作業主任者を選任しなければならない。

 

 

(9) 定期自主検査

事業者は、局所排気装置とプッシュプル型換気装置については、1年以内ごとに1、定期に自主検査を行わなければならない。ただし、1年を超える期間使用しない同項の装置の当該使用しない期間においては、この限りでない。

自主検査を行なったときは、記録を3年間保存しなければならない。

 

 

(10) 掲示事項

事業者は、屋内作業場等において有機溶剤業務に労働者を従事させるときは、次の事項を、作業中の労働者が容易に知ることができるよう、見やすい場所に掲示しなければならない。

有機溶剤の人体に及ぼす作用

有機溶剤等の取扱い上の注意事項

有機溶剤による中毒が発生したときの応急処置

 

 

特定化学物質障害予防規則

 

(1) 特定化学物質

 定化学物質障害予防規則にて、第一類~第三類物質を「特定化学物質」としている。

 

特定化学物質代表例一覧

第一類物質

(全7物質)

第二類物質

(全50種以上のうち一部)

第三類物質

(全9物質)

・ジクロルベンジジン

及びその塩

α-ナフチルアミン

及びその塩

・ポリ塩化ビフェニル

(別名PCB)

・オルト-トリイジン及びその塩

ジアニシジン及びその塩

ベリリウム及びその化合物

ベンゾトリクロリド

・アルキル水銀化合物

カドミウム及びその化合物

・クロム酸及びその塩

砒素(ひそ)及びその化合物

・シアン化カリウム

シアン化水素

・シアン化ナトリウム

・水銀及びその無機化合物

塩化ビニル

・塩素

コールタール

ベンゼン

弗化(ふっか)水素

・ホルムアルデヒド

・硫化水素

・オーラミン

特別有機溶剤(全12種)

アンモニア

・一酸化炭素

・塩化水素(塩酸

硝酸

・二酸化硫黄

亜硫酸

・フェノール

・ホスゲン

硫酸

・上の物質を含有する製剤その他の物

 

第二類物質の「特別有機溶剤」には、クロロホルム・四塩化炭素・トリクロロエチレン、他9物質がある。

特別管理物質」に指定されている物質については、事業者は1か月を超えない期間ごとに所定の事項を記録して30年間保存する。(有機溶剤から特定化学物質に近年、法改正されて移行した)。

作業環境の記録

作業の記録

特定化学物質健康診断個人票

第一類および第二類物質の製造および取り扱う作業場においては、6か月に1回、作業環境測定および特殊健康診断が必要とされている。

 

 

(2) 用後処理

 定化学物質を使用したあとに、以下の用後処理を規定している。

 

用後処理

処理内容

除じん

粉じんの粒形に応じた除じん装置を設ける。

a) 粉じん粒形が5μm未満の場合はろ過、電気による除じん装置を設ける。

b) じん粒形が5μm以上20μm未満の場合はスクラバ、ろ過、電気による除じん装置を設ける。

c) じん粒形が20μm以上の場合はマルチサイクロン、スクラバ等による除じん装置を設ける。

排ガス処理

硫化水素やフッ化水素等のガス・蒸気を含有する気体を排出する排気筒には、一定の性能を有する排ガス処理装置を設ける。

排液処理

硫酸シアン化ナトリウム等を含有する排液については、中和、酸化・還元、活性汚泥等、一定の性能を有する排液処理装置を設ける。

残さい物

アルキル水銀化合物を含有する残さい物を除毒して廃棄する。

ぼろ等

汚染ぼろ等は、蓋または栓をした不浸透性の容器に納める。

「活性汚泥」とは、細菌などの微生物からなる汚泥のことをいう。

 

 

(3) 喫煙防止

事業者は、第一類物質又は第二類物質を製造し又は取り扱う作業場で労働者が喫煙し、又は飲食することを禁止し、かつ、その旨を当該作業場の見やすい箇所に表示しなければならない。

労働者は、作業場で喫煙し、又は飲食してはならない。

 

 

(4) 作業環境測定

事業者は、作業場について6か月以内ごとに1回、定期に第一類物質又は第二類物質の空気中における濃度を測定しなければならない。

測定を行ったときは、その都度記録しこれを3年間保存しなければならない。

 

 

(5) 作業主任者

事業者は、特定化学物質を扱う作業については、特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習を修了した者のうちから、特定化学物質作業主任者を選任しなければならない。

 

 

(6) 定期自主検査

事業者は、局所排気装置・プッシュプル型換気装置・除じん装置、排ガス処理装置及び排液処理装置については、1年以内ごとに1定期に自主検査を行わなければならない。

特定化学設備又はその附属設備については、2年以内ごとに1定期に自主検査を行わなければならない。

 

 

(7) 製造許可

ジクロルベンジジン、ジクロルベンジジンを含有する製剤、その他の労働者に重度の健康障害を生ずるおそれのある物で、政令で定めるものを製造しようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ厚生労働大臣の許可を受けなければならない。

 

この製造許可物質は、第一類物質であるので名称はすべて暗記しておく。

 

 

(8) 製造等禁止

 黄りんマッチ、ベンジジン、その他労働者に重度の健康障害を生ずる物で、政令で定めるものは、製造・輸入・譲渡・提供・使用してはならない。政令で定めるものとは以下の物である。

黄りんマッチ

ベンジジン及びその塩(えん)

四アミノジフェニル及びその塩

石綿

⑤ ビス(クロロメチル)エーテル

β-ナフチルアミン及びその塩

⑦ ベンゼンを含有するゴムのり(含有容量5%超え)

 

 

【アウトプット】

12. 第一種有機溶剤等を用いて払拭の業務を行う屋内作業場について、定期に当該有機溶剤の濃度を測定していない。

13. ベンジジンおよびその塩の製造には厚生労働省の許可が必要である。