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1作業環境要素

N222022/03/22 16:07

温熱条件

 

(1) 4つの要素

 温熱条件は、4つの温熱要素によって決定される。

 

温熱条件

温熱要素

性質

使用測定器

気温

温度感覚を最も強く左右する。

アスマン通風乾湿計

 

湿度

空気中の水蒸気量と、その温度における飽和水蒸気量との比を100分率で示したものを相対湿度という。

アスマン通風乾湿計

 

気流

気温と湿度が一定であっても、気流により温度感覚が変わってくる。

熱線風速計

放射熱

(ふく射熱)

炉のような熱源は、ふく射熱を放射して、気温以上の暑さを与える。

黒球温度計

人が暑さや寒さを感じる、温熱感覚もこれら4つの温度要素のよって影響されることになる。

温熱指数は、この温度感覚を表す尺度となるもので、実効温度・不快指数・WBGTTGEなどがある。

 

 

(2) 温熱指標

 温熱指標として、下記のような代表的なものがある。

 

温熱指標

温熱指標

詳細

実効温度

(感覚温度)

温熱要素のうち、気温・湿度・気流3要素の組み合わせによる効果を実験的に求めて、1つの温度指標で表したもの。

(ふく射熱は要素とされていない)。

気温と湿度はアスマン通風乾湿計で測定し、気流の測定は熱線風速計を用いる。

これに対して修正実効温度というものがあり、実効温度にふく射熱を考慮したもので、黒球温度・湿球温度・風速を使い求める。

不快指数

温熱環境の不快度を表す指標で、乾球温度湿球温度の測定値から求められる(気流は考慮されていない)。

不快指数は次の式で算出される。

不快指数=0.72×(乾球温度+湿球温度)+40.6

快適は70、半数不快は75、大多数不快は80以上となる。

黒球温度とWBGT

黒球温度は、放射熱を吸収する黒球の温度上昇を測定したもので、黒球温度計で計測される。

WBGT(湿球黒球温度)は、暑熱環境のリスクを評価するための指標で、自然湿球温度・黒球温度・乾球温度の測定値から求める。

屋外で太陽照射がある場合に、次の式で算出される。

WBGT(0.7×自然湿球温度)(0.2×黒球温度)(0.1×乾球温度)

屋内の場合は、次の式で算出される。

WBGT(0.7×自然湿球温度)(0.3×黒球温度)

TGE

高温環境下の作業場での評価指数で、T(作業場平均温度)・G(平均黒球温度)・E(平均エネルギー代謝率)を掛け合わせて算出する。

至適温度

暑からず、寒からずの感覚温度のことをいう。

作業環境が強かったり、作業時間が長かったりしたときには、至適温度が一般に低くなる

体温が下がっているときは、至適温度が高くなる

実効と感覚で、「実感」と覚える。

WBGTの計算式の覚え方として、湿・黒・乾で「シッコクかわく」

WBGTは、熱中症リスクの評価指数として用いられる指標でもある。

 

 

(3) 必要換気量

新鮮な空気中の酸素濃度は21、二酸化炭素濃度は0.030.04である。人の呼気に含まれる酸素濃度は16、二酸化炭素濃度は4となっているので、室内で作業を続けていると二酸化炭素濃度が徐々に増加していくことになる。

室内のこうした空気の清浄度を保つために最小限入れ替える必要のある空気量を、必要換気量という。必要換気量は1時間で交代する空気量で表す。送風機による機械換気をする場合、清浄度の目安となる室内二酸化炭素基準濃度は1,000ppmとされている。

必要換気量の算出は、外気によって換気を行うときには、必要換気量は室内にいる者が1時間に呼出する二酸化炭素量を、室内の二酸化炭素基準濃度から外気の二酸化炭素濃度を引いた値で割ることによって算出する。

 

1人当たりの必要換気量(㎥/h

在室者が呼出する二酸化炭素量(㎥/h

 

室内の二酸化炭素基準濃度-外気の二酸化炭素濃度

 

換気は、冷暖房効果なども考えて、適度な回数を行う。

 

必要換気回数は

必要換気回数 =

必要換気量

 

気積

 

高温環境下では普通よりも多くの換気が必要となる。

換気回数は多ければ多いほどよいというわけではない。

 

 

採光・照明

 

(1) 照明の種類

照明種類

詳細

全般照明

室内全体を照らす照明

局所照明

検査作業等で、手元を集中的に照らすような照明で、全般照明と併用する。

 

 

(2) 照明方法の種類

照明方法

詳細

直接照明

光源から光が直接あたる照明

半間接照明

光源から出る光をカバーを通して利用する照明

間接照明

光を壁や天井に反射させてから照らすもの

 

 

(3) 用語

用語

詳細

カンデラ

光度ともいい、光の強さを表す単位

ルクス

照度ともいい、光源によって照らされる面の明るさ

グレア

物の見えづらさを生じさせるような「まぶしさ」のこと。

1ルクス=1カンデラの光源から1m離れたところで、その光に直角な面が受ける明るさ

 

 

(4) 環境

適した環境

詳細

光の色

白色光

彩色

a) まぶしさを防止するために、目の高さ以下に濁色を使用する。

b) 反射させるために、目の高さ以上に明るい色を使用する。

c) 明度が高いと照度が上がる効果がある。

d) 彩度が高いと疲労を招くことがある。

光を当てる角度

前方からの場合は30度以上

光の量

まぶしすぎず、作業面や床面に強い影ができない程度。ただし適度な影は必要。

また全般照明は局所照明の1/10以上が必要

 

 

【アウトプット】次の記述の正誤を答えよ。

1. 自然湿球温度・黒球温度・乾球温度の測定値から屋内のWBGT(湿球黒球温度)を求めることが出来る。

2. 在室者が10人の事務室において、在室者が呼出する二酸化炭素量が一人当たり0.015/hの場合一時間当たりの呼出二酸化炭素炭素量は1.5/hである。

3. 半間接照明とは、光を壁や天井に反射させてから照らすものである。

4. ルクスとは、照度のことである。