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1労働基準法

N222022/03/22 15:51

労働基準法

労働基準法は、労働者保護法とも言われ、労働者を保護する法律でもある。事業者からの不当な労働条件から保護してくれている。

 

労働契約の解雇

 「解雇」とは、使用者による一方的意思表示による労働契約の解除をあらわす。この解雇には、一定の規制が設けられている。

 

(1) 解雇制限

【条文チェック】(19条)

使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間並びに産前産後の女性が休業する期間及びその後30日間は、解雇してはならない。

・ 産前は6週間、産後は8週間とされている。

・ 例外として、天災事変等で事業の継続が不可能になったときや、打ち切り補償を支払ったときには解雇制限が外される。

 

 

(2) 解雇予告

【条文チェック】(20条)

使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも 30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分の平均賃金を支払わなければならない。

・ 例外として、天災事変等で事業の継続が不可能になったときや、労働者の責めに帰すべき事由によるときには解雇予告が外される。

 

 

(3) 解雇予告の適用除外

解雇予告手当の制度は、一定の労働者には適用されない。ただし以下に定められた期間の経過により、これらの労働者についても解雇予告(手当)が必要となる。

 

「解雇予告の適用除外」

解雇予告適用除外者

解雇予告が必要になる場合

日々雇い入れられる者

1か月を超えて

引き続き使用されるに至った場合

2か月以内の期間を定めて使用される者

所定の期間を超えて

引き続き使用されるに至った場合

③ 季節的業務に4か月以内の期間を定めて使用される者

所定の期間を超えて

引き続き使用されるに至った場合

試みの使用期間中の者

14 を超えて引き続き使用されるに至った場合

 

 

労働時間、休憩、休日

労働者への労働時間や休憩、休日には様々な条件がある。

 

(1) 法定労働時間

【条文チェック】(32条)

使用者は労働者に、休憩時問を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。1週間の各日については、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない。

・ これらの定めは「法定労働時間」と呼ばれるが、法定労働時間には休憩時間は含まれない。

・ 特例措置として、140時間の適用が困難な零細規模の事業場が多いとされる商業、映画・演劇業(映画の製作の事業を除く)、保健衛生業及び接客娯楽業のうち、常時10人未満の労働者を使用するものについては、特例として1週間の法定労働時間が44時間とされる。

・ 労働者が複数の事業場で労働しているような場合には、通算して法定労働時間に関する規定が適用されることになる。

 

 

(2) 変形労働時間

労働時間は、法定労働時間が原則であるが、以下のように4つの変形労働時間制が存在する。

 変形労働時間制は、労働者の生活設計を損なわない範囲内において労働時間を弾力化し、週休2日制の普及、年間休日日数の増加、業務の繁閑に応じた労働時間の配分等を行うことによって、労働時間を短縮することを目的とする制度である。

 

変形労働時間制

期間

実施条件

労使協定届出

1か月単位の変形労働時間制

1か月以内

労使協定

または就業規則等

必要

  フレックスタイム制

3か月以内

労使協定

および就業規則等

不要

1年単位の変形労働時間制

1か月超え1年以内

労使協定

必要

1週間単位の変形労働時間

1週間

労使協定

必要

・ フレックスタイム制において労使協定が不要であるのは、労働者が比較的自由に働けるからとされている。

・ フレックスタイム制の3か月期間のことを、清算期間と呼んでいる。

 

 

(3) 休憩時間

【条文チェック】(34条)

使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少なくとも458時間を超える場合においては少なくとも1時間休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。

・ 休憩時間は一斉に与えなければならない。ただし下記の事業で労使協定がある場合には、一斉に休憩時間を与えないことができる。

   坑内労働の場合

   運輸交通業、商業、金融・広告業、映画・演劇業、通信業、保健衛生業、接客娯楽業または

官公署の事業の場合

   なお、この場合には当該労使協定を所轄労働基準監督署長に届け出る必要はない。

・ 使用者は、休憩時間を自由に利用させなければならない。

管理監督の地位にある者、および機密の事務を取り扱うものは、労働基準監督署の許可を受けなくても、休憩に関する規定は適用されない。

・ 監視または継続的労働に従事する労働者の場合、所轄労働基準監督署長の許可を受けることにより、休憩に関する規定は適用されなくなる。

 

 

(4) 休日

【条文チェック】(35条)

使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない。この規定は、4週間を通じ4日以上の休日を与える使用者については適用しない

・ 労働基準法では、労働者の心身の回復を図るため「週休制の原則」を定めている。

・ 曜日についての制限はないため、日曜日や祝日を休日としなくても本条違反とはならない。

・ 「休日の振替」とは、あらかじめ休日と定められている日を労働日とし、その代わりに他の労働日を休日とすることをいう。この場合には、あらかじめ休日と定められた日が労働義務のある労働日に振り替わっているため、その日に労働させても休日に労働させたことにはならない。したがって、法定休日を振り替えた場合であっても、休日労働に関する割増賃金の支払の必要は生じない。

・ 「代休」とは、休日に労働を行った後に、その代償としてその後の特定の労働日の労働義務を免除することをいう。この場合には、労働義務のない休日に労働させたのであるから、その労働させた日が法定休日である場合には、休日労働に関する割増賃金の支払が必要となる。

管理監督の地位にある者、および機密の事務を取り扱うものは、労働基準監督署の許可を受けなくても、休日に関する規定は適用されない。

・ 監視または継続的労働に従事する労働者の場合、所轄労働基準監督署長の許可を受けることにより、休日に関する規定は適用されなくなる。

 

 

(5) 残業(時間外勤務)

【条文チェック】(36条)

使用者は労使協定を締結し、これを所轄労働基準監督署長に届け出た場合においては、法定の労働時間又は法定の休日に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによって労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる

・ 労働基準法36条にある労使協定であるので、36(サブロク)協定と呼ばれている。

・ この36協定を締結することにより、事業者は労働者に法定時間の18時間・週40時間を超える時間外勤務、いわゆる残業をさせることが可能となる。

・ 時間外勤務の原則は、45時間・年360時間であるのだが、特別条項を締結することにより限度基準を超えて時間外勤務をさせることが可能となる。

・ 時間外勤務の例外として、以下の場合には時間外労働をさせることができる。

  非常災害の場合で臨時の必要がある場合

   公務員の場合で臨時の必要がある場合

管理監督の地位にある者、および機密の事務を取り扱うものは、労働基準監督署の許可を受けなくても、労働時間に関する規定は適用されない。

監視または継続的労働に従事する労働者の場合、所轄労働基準監督署長の許可を受けることにより、労働時間に関する規定は適用されなくなる。

 

 

【アウトプット】 次の記述の正誤を答えよ。

19. 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも14日前にその予告をしなければならない。

20. フレックスタイム制に関する労使協定の届け出は不要である。

21. 使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少なくとも45分、9時間を超える場合においては少なくとも1時間の休息時間を労働時間の途中に与えなければならない。