- 法令上の制限税その他ー2.建築基準法
- 2.建築確認
- 建築確認
- Sec.1
1建築確認
宅地を造成する場合は、『開発許可』が必要であった。建築物を建築する場合には、『建築確認』が必要になる。建築確認とは、建築に着手する前に、建築主事という建築の専門家にその安全性や衛生面について検討してもらうものである。一定の場合、この建築確認がなければ、建築には着手できない。
■建築確認
建築主は、一定の建築物を建築等しようとする場合は、その工事に着手する前に、その計画が建築基準関係規定に適合するものであることについて、建築確認の申請書を提出して建築主事または指定確認検査機関の確認を受け、確認済証の交付を受けなければならない。 |
確認済証の交付を受けた後でなければ、建築物の建築等の工事に着手することができない。
※ 建築基準関係規定とは、建築基準法ならびにこれに基づく命令および条例の規定(建築基準法令の規定)その他建築物の敷地、構造または建築設備に関する法律ならびにこれに基づく命令および条例の規定で政令で定めるものをいう。
■建築確認の要否
建築確認は一定の建築物の建築等に必要であり、すべての場合に建築確認が必要というわけではない。建築確認が必要であるか否かの基準は、建築物の種類によって、大きく2つに分けられる。
(1) 「大規模な建築物」
① 「大規模な建築物」
「大規模な建築物」には、「大規模な特殊建築物」、「大規模な木造建築物」および「大規模な木造以外の建築物」の3つがある。
イ) 「大規模な特殊建築物」
「大規模な特殊建築物」とは、一定の用途に供する特殊建築物で、その用途に供する部分の床面積の合計が200㎡を超えるものをいう。
「大規模な特殊建築物」の対象となるのは、以下の用途に供するものである。
劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場、病院、診療所(患者の収容施設があるものに限る)、ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎、児童福祉施設等(幼保連携型認定こども園を含む)、学校、体育館、博物館、美術館、図書館、ボーリング場、スキー場、スケート場、水泳場またはスポーツの練習場、百貨店、マーケット、展示場、キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、待合、料理店、飲食店または物品販売業を営む店舗、倉庫、自動車車庫、自動車修理工場、映画スタジオまたはテレビスタジオ |
要するに、不特定多数の者が利用する建築物、就寝の用途に供する建築物、火災の危険性が高い建築物などが対象になっている。
Point 事務所は特殊建築物ではない。
ロ) 「大規模な木造建築物」
「大規模な木造建築物」とは、木造の建築物で3以上の階数を有し、または延べ面積が500㎡、高さが13mもしくは軒の高さが9mを超えるものをいう。
ハ) 「大規模な木造以外の建築物」
木造以外の建築物で2以上の階数を有し、または延べ面積が200㎡を超えるものをいう。
【「大規模な建築物」(まとめ)】
次の要件のいずれか1つでも満たせば、「大規模な建築物」となる。
階数 | 延べ面積 | 高さ | 軒の高さ | |
特殊建築物 | ― | 200㎡超 | ― | ― |
木造建築物 | 3以上 | 500㎡超 | 13m超 | 9m超 |
木造以外の建築物 | 2以上 | 200㎡超 | ― | ― |
② 建築確認が必要になる場合
「大規模な建築物」に該当する建築物については、その区域を問わず(全国どこでも)、建築しようとする場合、大規模の修繕もしくは大規模の模様替をしようとする場合または「大規模な特殊建築物」への用途変更をしようとする場合は、原則として、建築確認が必要になる。
③ 建築確認が不要となる例外
イ) 小規模な増築・改築・移転
防火地域および準防火地域外において建築物を増築し、改築し、または移転しようとする場合で、その対象となる部分の床面積の合計が10㎡以内の場合は、建築確認が不要である。
ロ) 類似の用途相互間の用途変更
「大規模な特殊建築物」への用途変更であっても、それが一定の類似の用途相互間である場合は、建築確認が不要になる。類似の用途とされるものは、次の通り(主なもの)
1. 劇場、映画館、演芸場の間
2. ホテル、旅館の間 3. 下宿、寄宿舎の間 |
(2) その他の建築物
① 建築確認が必要になる場合
「大規模な建築物」に該当しない建築物であっても、一定の区域内で建築を行う場合は、原則として、建築確認が必要になる。
「大規模な建築物」以外の建築物であっても建築確認が必要になる区域は、次の通り。
1. 都市計画区域(都道府県知事が都道府県都市計画審議会の意見を聴いて指定する区域を除く)
2. 準都市計画区域(都道府県知事が都道府県都市計画審議会の意見を聴いて指定する区域を除く) 3. 準景観地区(市町村長が指定する区域を除く。) 4. 都道府県知事が関係市町村の意見を聴いてその区域の全部もしくは一部について指定する区域 |
② 建築確認が不要になる例外
防火地域および準防火地域外において建築物を増築し、改築し、または移転しようとする場合で、その対象となる部分の床面積の合計が10㎡以内の場合は、建築確認が不要である。
【建築確認の要否(まとめ)】
○…確認必要 ×…確認不要
※…類似用途相互間の場合は確認不要
■建築確認の手続
建築確認の手続は、次のような手順で行われる。
申請書の提出 ↓ 審査 ↓ 確認済証の交付 ↓ 工事の開始 ↓ (中間検査) ↓ 工事の完了 ↓ 完了検査の申請 ↓ 完了検査 ↓ 検査済証の交付 | (注1) (注2)
(注3)
(注4) | (注1) 確認済証は、申請書を受理した日から、「大規模な建築物」は35日以内、その他の建築物は7日以内に交付。
(注2) 中間検査は、違法建築が頻出する工程などを特定工程として、その特定工程の終了後4日以内に建築主事または確認検査機関に検査申請→受理後4日以内に建築基準関係規定に適合しているか否かを検査し、適合しているときは中間検査合格証を交付→工事再開となる。
(注3) 申請は、工事完了の日から4日以内に建築主事に到達するようにする。
(注4) 完了検査は、完了検査の申請を受理した日から7日以内に行う。 |
(1) 建築確認の申請書の提出
建築主が、工事着手前に建築主事または指定確認検査機関に、申請書を提出して、確認申請をする。
(2) 審査・確認済証の交付
建築主事は、申請書を受理した場合は、申請に係る建築物の計画が建築基準関係規定に適合するかどうかを審査しなければならない。
Point 建築基準関係規定とは、建築基準法令に限らず、「建築物の敷地、構造または建築設備に関する法律ならびにこれに基づく命令および条例の規定で政令で定めるもの」を含む。その中には、都市計画法や宅地造成等規制法も含まれる。
建築主事は、申請書を受理した日から一定期間内に審査し、審査の結果に基づいて建築基準関係規定に適合することを確認したときは、その申請者に確認済証を交付しなければならない。
確認に要する期間は建築物の種類に応じて次のように定められている。
① 「大規模な建築物」 ・・・・・・ 35日以内
② その他の建築物 ・・・・・・・・・ 7日以内 |
(3) 消防長等の同意
特定行政庁、建築主事または指定確認検査機関は、建築確認をする場合に、その確認に係る建築物の工事施工地または所在地を管轄する消防長(消防本部を置かない市町村にあっては、市町村長)または消防署長の同意を得なければ、その確認をすることができない。ただし、確認に係る建築物が防火地域および準防火地域以外の区域内における住宅(長屋、共同住宅等一定の住宅を除く)である場合においては、この同意は不要である。
(4) 工事現場における確認の表示等
施工者は、その工事現場の見やすい場所に、建築主、設計者、工事施工者および工事の現場管理者の氏名または名称ならびにその工事に係る建築確認があった旨の表示をしなければならない。
(5) 建築計画の変更
確認済証の交付を受けた後、その建築計画を変更する場合には、計画の変更確認の申請が必要である。
(6) 建築物に関する中間検査
建築主は、工事が特定工程を含む場合で、その特定工程に係る工事を終えたときは、その都度、終えた日から4日以内に建築主事に到達するよう、中間検査を申請しなければならない。
特定工程とは、次の工程である。
① 階数が3以上である共同住宅の床およびはりに鉄筋を配置する工事の工程のうち一定の工程
② ①のほか、特定行政庁が、その地方の建築物の建築の動向または工事に関する状況その他の事情を勘案して、区域、期間または建築物の構造、用途もしくは規模を限って指定する工程 |
建築主事は、その申請を受理した日から4日以内に、中間検査を実施し、工事中の建築物等が建築基準関係規定に適合することを認めたときは、建築主に対してその特定工程に係る中間検査合格証を交付しなければならない。特定工程後の工程に係る工事は、この中間検査合格証の交付を受けた後でなければ、施工することができない。
(7) 完了検査・検査済証の交付
建築確認の確認済証の交付を受けたからといって、確認を受けた建築計画のとおりに建築が行われたかどうかはわからないため、工事完了後に、確認申請どおりの建築が行われたかどうかをチェックする必要がある。
① 完了検査の申請
建築主は、建築確認を受けた工事を完了したときは、工事が完了した日から4日以内に建築主事に到達するように、完了検査を申請しなければならない。
② 完了検査・検査済証の交付
建築主事が完了検査の申請を受理した場合は、建築主事等(建築主事またはその委任を受けた当該市町村もしくは都道府県の職員)は、その申請を受理した日から7日以内に、当該工事に係る建築物およびその敷地が建築基準関係規定に適合しているかどうかを検査し、建築基準関係規定に適合していることを認めたときは、当該建築物の建築主に対して検査済証を交付しなければならない。
(8) 検査済証の交付を受けるまでの建築物の使用制限
「大規模な建築物」を新築する場合は、その建築物の建築主は、検査済証の交付を受けた後でなければ、新築に係る建築物を使用することができない。
ただし、次の場合は、検査済証の交付を受ける前においても、仮に、当該建築物を使用することができる。
① 特定行政庁が、安全上、防火上および避難上支障がないと認めたとき。
② 建築主事または指定確認検査機関が、安全上、防火上および避難上支障がないものとして国土交通大臣が定める基準に適合していることを認めたとき。 ③ 完了検査の申請が受理された日から7日を経過したとき。 |