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1都市計画事業と建築制限

堀川 寿和2021/11/24 16:23

都市計画事業とは

 都市計画が実行されると多くの建築制限等が行われる。前節では、開発行為に関する建築等の制限を見たが、開発行為に関連するもの以外にも建築制限はある。すなわち、『都市計画事業』に関連する都市計画制限(建築・造成等の制限)である。

 都市計画事業とは、「市街地開発事業」と「都市計画施設の整備に関する事業」の2つを併せた呼び方である。都市計画法は、都市計画事業を円滑に行えるよう、事業の妨げとなる行為を制限している。


市街地開発事業

 『市街地開発事業』とは、積極的に計画的な街づくりをしようとするものである。市街化区域または区域区分が定められていない都市計画区域内において、一体的に開発し、または整備する必要がある土地の区域について定められる。

 市街地開発事業には、次の7種類がある。

土地区画整理事業公共施設の整備と宅地の整備をはかる
新住宅市街地開発事業大都市周辺で、大規模な住宅市街地を開発する
工業団地造成事業工業団地を計画的に造成する
市街地再開発事業既成市街地で土地の高度利用と都市機能の更新をはかる
新都市基盤整備事業大都市の周辺において、新都市を建設する事業
住宅街区整備事業三大都市の周辺で、良好な住宅地を供給する
防災街区整備事業防災性向上へ老朽建物の除去等の公共施設整備を行う


市街地開発事業の流れ

 市街地開発事業は、『市街地開発事業等予定区域』から始まる大規模なものと、予定区域を定めない、小規模な『市街地開発事業』の2つがある。


(1) 小規模な市街地開発事業

 市街地開発事業をすることが決まった場所を「市街地開発事業の施行区域」という。せっかく開発事業を行おうとしているのに、そこに勝手に建物を建てられると事業の妨げになるので規制をかける。しかし、まだ実際に工事が始まるわけではないので規制は緩やかである(許可が必要な行為は1つだけ)。次に「都市計画事業の認可・承認の告示」がされると、いよいよ工事が始まるので規制が厳しくなり(許可が必要な行為は3つ)、呼び名も「事業地」に変わる。


(2) 大規模な市街地開発事業

 工業団地の造成など大規模な都市計画事業をする場合は、早い段階で適地を「市街地開発事業等予定区域」とし、建物が建っていかないように中ぐらいの規制をかける(許可が必要な行為は3つ)。

 「都市施設・市街地開発事業の決定の告示」がされても、引き続きそこそこ厳しい規制がかけられる(呼び名も「予定区域」のまま)。次に、「都市計画事業の認可・承認の告示」がされるといよいよ工事が始まるので厳しい規制となり、呼び名も「事業地」に変わる(許可が必要な行為は4つ)。


以上の分類は、次に見る「都市計画施設」の場合も同じである。