- 憲法ー9.参政権
- 4.被選挙権
- 被選挙権
- Sec.1
1被選挙権
■被選挙権の法的性格
『選挙人団によって選定されたとき、これを承諾し、公務員となりうる地位』という意味での被選挙権は、選挙されうる資格ないし地位であって、選挙されることを主張しうる権利ではない、と一般に解されてきた。これに対して、『立候補する権利』という意味での被選挙権は、憲法で保障された国民の基本的な権利である。ただし、立候補の自由は憲法上の明文規定がないため、憲法上の根拠をどこに求めるかについては争いがある。
(1) 15条1項説(判例・通説)
選挙権と被選挙権を表裏一体と捉え、15条1項に根拠を求める。 Cf. 三井美唄労組事件
(2) 13条説
13条の幸福追求権に根拠を求める。
(3) 44条説
44条が選挙権と被選挙権を区別していないことに根拠を求める。
■連座制
(1) 連座制の意義
連座制とは、公職の選挙において、候補者以外の者が悪質な選挙犯罪により有罪判決を受け、当該判決が確定したとき、候補者本人の当選無効及び立候補禁止という効果をもたらす制度である。連座制そのものを合憲とする最高裁判例は既に存在しており、合憲であるという結論は確立したものといってよい(最大判S37.3.14)。
(2) 拡大連座制の特徴
連座制は戦前から採用されていたが次第に強化され、1994(H6)年の政治改革の下で導入されたのが、現行の拡大連座制である。その特色は、ⅰ)連座制の対象者として、従来の選挙運動の総括責任者から、候補者の一定の親族、秘書、組織的選挙運動管理者等にまで拡大したこと、ⅱ)連座制の効果として、従来の選挙無効に加え、5年間の立候補禁止制度が設けられたこと、ⅲ)候補者に選挙浄化義務が課され、当該義務を果たすならば免責規定が適用されること、である。
(3) 拡大連座制の合憲性
選挙運動の組織的運動管理者等が選挙犯罪によって有罪判決を受けた場合に、候補者がそれに関与していなくても、当該候補者の立候補を5年間禁止する旨を定めた公職選挙法251条の3第1項は、候補者の立候補の自由を制限するものとして違憲といえないかが問題となる。この点、判例は、『合理性の基準』を採用して、合憲と判断している。学説から、参政権も重要な基本的人権であるから、より厳格な審査基準を用いるべきであったという批判がなされている。
判例 |
拡大連座制の合憲性(最大判H9.3.13) |
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《争点》 |
公選法251条の3は候補者の被選挙権を侵害し、違憲か? |
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《判旨》 |
公選法251条の3の規定は、民主主義の根幹をなす公職選挙の公明、適正を厳粛に保持するという極めて重要な法益を実現するために定められたものであって、その立法目的は合理的であり、憲法に違反しない。 |
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