• 憲法ー1.憲法総論
  • 2.大日本帝国憲法との比較
  • 大日本帝国憲法との比較
  • Sec.1

1大日本帝国憲法との比較

堀川 寿和2022/02/14 14:14

大日本帝国憲法の特色

 大日本帝国憲法(明治憲法 以下、「旧憲法」と表記)は、君主制の色彩が極めて強く、法の支配ではなく形式的法治主義の原理が採用されていた。

 

大日本帝国憲法の内容

① 主権

・ 主権者は万世一系の天皇(旧憲法1条)

・ 天皇は統治権の総覧者(旧憲法4条)

② 人権

・ 人権の根拠は自然権ではなく、天皇が臣民に恩恵として与えた「臣民権」

・ 『法律の留保』による人権の制限が可能

③ 統治機構

・ 形式的には議会・内閣・裁判所の権力分立制

・ 帝国議会は天皇の立法権に「協賛」する存在(旧憲法5条)

・ 内閣制度は憲法上の制度ではない

・ 各国務大臣の権能は天皇の「輔弼(ほひつ)」であり、天皇に対して責任を負う(旧憲法55条)

・ 裁判所は天皇の名において司法権を行使する(旧憲法57条)

・ 司法権の帰属する通常裁判所のほかに、行政事件のみを扱う別系統の行政裁判所が存在し、行政事件の管轄は行政裁判所に専属する(旧憲法61条)

・ 裁判所に違憲審査権が与えられていない