- 刑法(各論)ー10.国家の存立に関する罪
- 2.外患に関する罪
- 外患に関する罪
- Sec.1
1外患に関する罪
■外患に関する罪
(1) 意義
外患に関する罪は、内乱罪と同様に国家の存立を害する罪であるが、国家の存立を外部から侵害する点で内部から侵害する内乱罪と異なる。次のように分類される。
① 外患誘致罪 ② 外患援助罪 ③ 外患予備・陰謀罪 |
(2) 外患誘致罪(刑法81条)
刑法81条(外患誘致)
外国と通謀して日本国に対し武力を行使させた者は、死刑に処する。
① 構成要件
外国と通謀して日本国に対し武力を行使させることである。
② 刑罰
死刑のみ。未遂の処罰規定あり。(刑法87条)
(3) 外患援助罪(刑法82条)
刑法82条(外患援助)
日本国に対して外国から武力の行使があったときに、これに加担して、その軍務に服し、その他これに軍事上の利益を与えた者は、死刑又は無期もしくは2年以上の懲役に処する。
① 構成要件
日本国に対して外国から武力の行使があったときに、これに加担して、その軍務に服し、その他これに軍事上の利益を与えることである。外国からの武力行使があることが前提である。
② 刑罰
死刑又は無期もしくは2年以上の懲役。未遂の処罰規定あり。(刑法87条)
(4) 外患予備・陰謀罪(刑法88条)
刑法88条(予備及び陰謀)
第81条又は第82条の罪の予備又は陰謀をした者は、1年以上10年以下の懲役に処する。
① 構成要件
外患誘致、外患援助罪の予備行為又は陰謀をすることである。
② 刑罰
1年以上10年以下の懲役。