• 宅建業法ー12.住宅瑕疵担保責任履行法
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  • 住宅瑕疵担保責任保険等
  • Sec.1

1住宅瑕疵担保責任保険等

堀川 寿和2021/11/24 14:13

住宅瑕疵担保責任保険

(1) 概要

 住宅瑕疵担保責任保険(以下、「保険」)とは、売主業者が、国土交通大臣の指定する住宅瑕疵担保責任保険法人(以下、「保険法人」)と保険契約を締結しておき、瑕疵が発見された場合に保険法人から売主業者に保険金が支払われるというものである。

 保険の加入については、工事開始時までに申し込みをして、基礎工事や躯体工事の施工段階で行われる保険法人の検査に合格しなければならないなどの条件がある。


(2) 請求方法

 通常は、買主が売主業者に瑕疵修補請求をし、売主業者が保険金を受け取って欠陥を修補する。しかし、売主業者が倒産するなどして瑕疵の修補をしない場合は、買主が保険法人に対して保険金を直接請求することができる。なお、買主による直接請求の場合は、支払われる保険金は損害の100%であるが、売主業者が受け取る場合は損害の80%である。これは、売主業者に、「保険に加入しているから損害が発生してもかまわない」という考えを持たせないためである。


(3) 保険加入に関する説明

 売主業者が保険法人と保険契約を締結した場合、保険証券またはこれに代わるべき書面を買主に交付しなければならない


紛争処理

 売主業者と買主との間の紛争は「住宅紛争審査会」によるあっせん・仲介・仲裁によって処理する。加えて「住宅紛争処理支援センター」が相談・助言等の形で当事者に協力して解決を図る仕組みもある。

 保険に加入している宅建業者が当事者であれば、保険法人も紛争処理手続に参加することができる


【住宅販売瑕疵担保保証金と営業保証金の比較】


住宅販売瑕疵担保保証金営業保証金
金額の基準新築住宅の販売戸数事務所の数
方法金銭及び有価証券
供託所の場所主たる事務所の最寄りの供託所
時期基準日(毎年3月31日及び9月30日)による。
基準日から3週間以内に届出
事業開始までに供託し、届け出る。
怠った場合基準日の翌日から起算して50日を経過した日以後の、新たな自ら売主となる新築住宅の売買契約締結禁止(例外あり)事業を開始できない
還付の対象主要構造部等の瑕疵取引により生じた債権
取戻しで問題となること免許権者による承認公告の要不要
供託所等の説明書面の交付が義務である書面の交付は義務でない


チェック問 住宅瑕疵担保責任履行法 正解

【チェック問 住宅瑕疵担保責任履行法 正解】

1-×2-○3-×4-×


【チェック問 住宅瑕疵担保責任履行法 解説】

1. ×自ら売主として新築住宅を引き渡した宅建業者は、供託をし、かつ、その旨の届出をしなければ、当該基準日の翌日から起算して50日を経過した日以後においては、新たに自ら売主となる新築住宅の売買契約を締結してはならない。


2. ○宅建業者は、自ら売主となる新築住宅の買主に対し、新築住宅の売買契約を締結するまでに、その住宅販売瑕疵担保保証金の供託をしている供託所の所在地等について、これらの事項を記載した書面を交付して説明しなければならない。


3. ×資力確保措置が必要となるのは、宅建業者が自ら売主となって新築住宅を販売する場合だけであって、たとえ新築住宅であっても、媒介や代理で取引に関与する場合は、その義務を負わない。


4. ×新築住宅を自ら売主となって売買する宅建業者は、資力確保措置を講じなければならないが、買主が宅建業者である場合は、この義務を負わない。