• 刑法(各論)ー10.国家の存立に関する罪
  • 1.内乱に関する罪
  • 内乱に関する罪
  • Sec.1

1内乱に関する罪

堀川 寿和2022/02/10 15:03

意義

内乱に関する罪は、国家の存立を害する罪であり、次のように分類される。

内乱罪(刑法77条)

② 内乱予備罪・陰謀罪(刑法78条)

③ 内乱幇助罪(刑法79条)

内乱罪(刑法77条)

 

刑法77条(内乱)

1.国の統治機構を破壊し、又はその領土において国権を排除して権力を行使し、その他憲法の定める統治の基本秩序を壊乱することを目的として暴動をした者は、内乱の罪とし、次の区別に従って処断する。

 一 首謀者は、死刑又は無期禁錮に処する。

 二 謀議に参与し、又は群衆を指揮した者は無期又は3年以上の禁錮に処し、その他諸般の職務に従事した者は1年以上10年以下の禁錮に処する。

 三 付和随行し、その他単に暴動に参加した者は、3年以下の禁鋼に処する。

2.前項の罪の未遂は、罰する。ただし、同項第3号に規定する者については、この限りでない。

 

(1) 構成要件

国の統治機構を破壊し、又はその領土において国権を排除して権力を行使し、その他憲法の定める統治の基本秩序を壊乱することを目的として暴動することである。(目的犯)

 

(2) 刑罰

首謀者

死刑又は無期禁錮。

謀議に参与した者、群衆を指揮した者

無期又は3年以上の禁錮。

諸般の職務に従事した者

1年以上10年以下の禁錮。

付和随行者、単なる暴動参加者

3年以下の禁錮。

①~③については、未遂の処罰規定あり

内乱予備・陰謀罪(刑法78条)

 

刑法78条(予備及び陰謀)

内乱の予備又は陰謀をした者は、1年以上10年以下の禁錮に処する。

 

(1) 構成要件

内乱の予備又は陰謀をすることである。予備とは、例えば、資金や武器を集めたり、同志を募ったりすることである。陰謀とは、2人以上の者が内乱を計画し、合意することである。

 

(2) 刑罰

1年以上10年以下の禁錮である。なお、暴動に至る前に自首したときは、刑が免除される。(刑法80条)