- 刑法(各論)ー6.財産に対する罪
- 13.盗品等に関する罪
- 盗品等に関する罪
- Sec.1
1盗品等に関する罪
■盗品等譲受け等の罪(刑法256条)
刑法256条(盗品等譲受け等)
1.盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた者は、3年以下の懲役に処する。
2.前項に規定する物を運搬し、保管し、もしくは有償で譲り受け、又はその有償の処分のあっせんをした者は、10年以下の懲役及び50万円以下の罰金に処する。
■盗品等に関する罪の本質
盗品等に関する罪の本質について、追求権説と違法状態維持説の考え方があるが、判例・通説共に追求権説の立場に立つ。
(1) 追求権説
盗品等の罪は、本犯の被害者による盗品等に対する追及を困難にする罪と考える説である。
この説によると、例えば、被害者に返還する目的で盗品等を買い取った場合には、被害者の追及を困難にするものではないことから、盗品等有償譲受け罪は成立しないことになる。
判例 |
(最H14.7.1) |
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盗品等を取得して被害者に売りつける場合、盗品等処分あっせん罪が成立する。 |
⇒ 追求権説を形式的に徹底すると、被害者への処分あっせんはむしろ被害者の追求権に資するものであり、盗品等処分あっせん罪は成立しないようにも思われる。しかしこの場合、被害者は本来無償で返してもらうはずの盗品の取り戻しに費用をかけなければならないのであり、被害者の盗品等の正常な回復を困難にするものであると考えるのである。
(2) 違法状態維持説
盗品等に関する罪は、犯罪によって違法に成立した財産状態を維持存続させる罪と考える説である。