• 刑法(各論)ー4.私生活の平穏に対する罪
  • 2.秘密を侵す罪
  • 秘密を侵す罪
  • Sec.1

1秘密を侵す罪

堀川 寿和2022/02/10 12:18

信書開封罪

 

刑法133条(信書開封)

正当な理由がないのに、封をしてある信書を開けた者は、1年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。

 

(1) 構成要件

正当な理由がないのに、封をしてある信書を開けることである。

① 主体

限定なし。

② 客体

封をしてある信書である。はがきや開封済みの信書は本罪の客体とはならない。

③ 行為

封をしてある信書を開けることである。

 

(2) 刑罰

1年以下の懲役又は20万円以下の罰金である。親告罪とされている。(刑法135条)

秘密漏示罪

 

刑法134条

1.医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士、弁護人、公証人又はこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

2.宗教、祈祷もしくは祭祀の職にある者又はこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときも、前項と同様とする。

 

(1) 構成要件

医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産帥、弁護士、弁護人、公証人、宗教もしくは祈祷、祭祀の職にある者またはこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らすことである。

① 主体

刑法134条に列挙された者である。かつてそれらの職にあった者も含む。したがって、司法書士、行政書士、公務員等の場合は、本罪の主体とならないが、それぞれの法律(司法書士法、行政書士法、国家公務員法等)で秘密漏示を罰する規定がある。

② 客体

刑法134条の列挙者が業務上知り得た人の秘密である。

なお、秘密は業務上取扱ったことにつき知り得たものでなければならない。業務と無関係に知り得た事実は本罪の秘密ではない。したがって、医者が、患者が待合室に置き忘れた手紙を読んで知った事実を漏らしたような場合には、本罪は成立しない。

③ 行為

秘密を漏らすことである。

 

(2) 刑罰

6月以下の懲役又は10万円以下の罰金である。親告罪とされている。(刑法135条)