- 刑法(各論)ー2.生命•身体に対する罪
- 4.過失傷害の罪
- 過失傷害の罪
- Sec.1
1過失傷害の罪
■過失傷害罪(刑法209条)
刑法209条(過失傷害)
1.過失により人を傷害した者は、30万円以下の罰金又は科料に処する。
2.前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
(1) 構成要件
過失により人を傷害すること。
主体は限定なし。
(2) 刑罰
30万円以下の罰金又は科料。
(3) 親告罪
被害者の告訴がなければ処罰できない親告罪である。(刑法209条2項)
■過失致死罪(刑法210条)
刑法210条(過失致死)
過失により人を死亡させた者は、50万円以下の罰金に処する。
(1) 構成要件
過失により人を死亡すること。
主体は限定なし。
(2) 刑罰
50万円以下の罰金。
■業務上過失致死傷罪(刑法211条前段)
刑法211条前段(業務上過失致死傷)
業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。
(1) 構成要件
業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させたこと。
主体は業務者である。(身分犯)
ここでいう業務とは、社会生活上の地位に基づき、反復・継続して従事する仕事であって、それ自体人の生命・身体に対する危険を含むものをいう。(最S33.4.18)
① 社会生活上の地位
社会人としての立場においてという意味である。親が家庭内で行う育児、家事といった純然たる私生活上の行動は業務に当らない。それ以外であれば公務であると否と、営利であると否と、適法であると否と、本務であると兼務であるとを問わず、娛楽のためになされるものでも業務である。
② 反復継続性
その場限りの1回限りのものは業務ではないが、反復継続する意思があれば、1回目の行為でも業務である。
③ 危険な事務
人の生命、身体に対して危険を及ぼす事務でなければならない。(ex)危険物の製造等
判例 |
(最決S60.10.21) |
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業務上過失致死傷罪の業務は、他人の生命・身体等に危害を加えるおそれのあるものであることを 必要とし、他人の生命・身体の危険を防止することを業務の内容とする事務も含む。 |
(2) 刑罰
5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金。