- 刑法(総論)ー12.刑の適用
- 3.刑の加重事由・軽減事由
- 刑の加重事由・軽減事由
- Sec.1
1刑の加重事由・軽減事由
■刑の加重事由の意義
各本条に規定されている法定刑の適用にあたって、刑の加重事由が存在するときは、その法定刑に所定の修正が加えられる。この刑の加重事由にはあらかじめ刑法で規定されている。(併合罪加重・累犯加重)加重の限度は、有期の懲役・禁錮については30年である。(刑法14条2項)
■併合罪加重
前述のとおり、長期については、併合罪中、2個以上の有期懲役又は禁錮に処すべき罪があるときは、その最も重い罪につき定めた刑の長期にその2分の1を加えたものをもって長期とする。(最長期×1.5倍)ただし、それぞれの罪につき定めた刑の長期の合計を超えることはできない。(刑法47条)また、加重した長期についても30年を超えることができない。(刑法14条)
短期については定めがないため、最も重い罪の短期が他の罪の短期より短いときは重い方の短期によることになる。短期に2分の1を加える必要はない。
2個以上の罰金は、それぞれの罪について定められた罰金の多額の合計額以下で処断する。(刑法48条2項)下限については、各罪につき定められた寡額のうち最も重い金額による。
■累犯加重(再犯加重)
(1) 累犯(再犯)の意義
累犯(再犯)とは、懲役に処せられた者が、その執行を終わり又は執行の免除のあった日から5年内にさらに犯罪を行い、有期懲役に処せられる場合である。(刑法56条)三犯以上の者についても、累犯の例による。(刑法59条)
(2) 累犯(再犯)の要件(刑法56条1項)
① 前犯として懲役に処せられた者又はこれに準ずべき者(執行の免除を受けた者等) ② 前犯の刑の執行を終わった日又は執行の免除があった日から5年以内にさらに後犯を犯したこと ③ 後犯についても有期懲役に処せられること(*1) |
(*1)禁錮以下の刑については、累犯加重されることはない。
(3) 効果
累犯(再犯)については、その罪について定めた懲役の長期の2倍以下とする。(刑法57条)ただし、30年を超えることはできない。(刑法14条2項)