- 刑法(総論)ー10.罪数論
- 1.罪数論の意義
- 罪数論の意義
- Sec.1
1罪数論の意義
■罪数論の意義
罪数とは、犯罪の個数のことである。
犯罪の個数とは、ある行為につき犯罪が1個成立するのか(一罪)、それとも数個成立するのか(数罪)の問題である。例えば、ある人に怪我をさせる目的で2回殴ったような場合、傷害罪は1つ成立するのか、もしくは2つ成立するのかということである。判例(最S24.5.18)による、罪数の決定基準について、構成要件に該当する回数によって決定するとしている。1つの構成要件によって、1回の評価を受ける事実がある場合は一罪となり、2回の評価を受ける事実がある場合は二罪となる。
犯罪意思や犯罪行為又は侵害・危険にさらされた法益など、すべてを総合的に考慮しつつ構成要件該当性の判断を行う。そして、構成要件に何回該当するかは、当該構成要件の予定する被害法益の単一性・同一性を中心に、その法益侵害に向けられた犯意の単一性・連続性や実行行為の単一性・連続性をも考慮して総合的に判断する。