- 宅建業法ー10.報酬額の制限
- 4.その他
- 消費税
- Sec.1
1消費税
■消費税
ここで改めて、消費税の計算方法を学習しよう。
まず、売主や貸主(宅建業者とは限らない)が課税事業者であって、消費税の課税対象である代金や賃料・権利金が「消費税込み」で表示されている場合は、消費税分を抜いた本体価額を基礎として報酬計算をしなければならない。例えば、税込み4,400万円の店舗が対象となっている場合は、4,400万円÷1.1=4,000万円という計算で、本体価額を計算しなければならないのである。この数字を、売買・交換の速算式に当てはめれば126万円という数字が出てくる。
次に、媒介・代理を行う宅建業者に着目する必要がある。宅建業者が課税事業者であれば上記の126万円に(×1.1)、免税事業者であれば(×1.04)で最終的な上限額を算出するのである。
宅建業者が課税事業者の場合:126万円×1.1=138万6000円
宅建業者が免税事業者の場合:126万円×1.04=131万400円 |
Point1 土地の売買(交換)代金、地代等には、消費税が課税されない。つまり、土地の代金は額面そのままが本体価額なので、(÷1.1)をすると計算ミスということになる。
Point2 居住用の建物の賃貸借の場合、借賃(家賃)には消費税が課税されない。
■複数業者が関与する場合
複数の業者が取引に関与した場合も、報酬の限度額は、一人の業者が関与した場合と同じである。そうでないと、業者が増えるたびに報酬が増えて、依頼者に過大な負担が生じてしまうからである。
例えば、上記の例でいえば依頼者一人につき126万円(消費税は考慮しない)という数字が出てきているが、この数字は、関与する宅建業者が2人になろうが3人になろうが同じということである。(×2)で252万円になったり、(×3)で378万円になったりはしない。とにかく上限は126万円なので、それを複数の宅建業者でどのように分けるかは、当事者となる宅建業者同士で決めてもらうことになる。
■空家等の売買・交換の媒介および代理における特例
物件の現地調査等に要する費用(依頼者の特別の依頼に基づかないもの)については、宅建業者は、原則として、報酬の限度額とは別に受領することができない。この特例は、その例外として、「低廉な空家等」の売買・交換の媒介および代理の場合で、通常より現地調査等の費用を要するときには、宅建業者が、報酬の限度額に加えて、現地調査等に要する費用に相当する額を受領することができるようにするものである。
Point 「低廉な空家等」とは、当該売買に係る代金の額または当該交換に係る宅地・建物の価額が400万円以下(消費税相当額を含まない)の金額の宅地・建物をいう。なお、交換に係る宅地・建物の価額に差があるときは、多いほうの価額で判断する。
宅建業者(消費税課税事業者)が、低廉な空家等について売買・交換の媒介および代理の依頼を受けた場合において、通常の売買・交換の媒介および代理と比較して現地調査等の費用を要するときは、空家等の売主または交換を行う者である依頼者から受けることのできる報酬の限度額は、通常の報酬の限度額に「当該現地調査等に要する費用に相当する額」を加えた金額になる。ただし、その金額は、「18万円+消費税相当額」を超えることはできない。
なお、「当該現地調査等に要する費用に相当する額」とは、人件費等を含むものであり、宅建業者は媒介契約の締結に際し、あらかじめ報酬額について空家等の売主または交換を行う者である依頼者に対して説明し、両者間で合意しておかなければならない。
この特例の適用を受けた場合も、空家等の買主または交換の相手方から受ける報酬の限度額については、原則通り、通常の報酬の限度額となる。したがって、この特例の適用を受けた場合の1件の取引における報酬の限度額も、通常の1件の取引における報酬の限度額に「当該現地調査等に要する費用に相当する額」を加えた金額(「18万円+消費税相当額」が上限)になる。