- 刑法(総論)ー6.違法論
- 6.緊急避難
- 緊急避難
- Sec.1
1緊急避難
■緊急避難の意義
緊急避難とは、切迫する危難を避けるため、無関係な第三者の法益をやむなく侵害する行為をいう。(刑法37条1項)例えば、車にひかれそうになったため、とっさに避けようとしてそばにいた人を突き飛ばして負傷させた場合のような場合である。
■緊急避難と正当防衛の差異
正当防衛が急迫不正の侵害に対する反撃であるのに対して、緊急避難は現在の危難を避けるため、危難と関係ない第三者の利益を侵害する点で根本的に異なる。正当防衛は「正対不正」、緊急避難は「正対正」となる。緊急避難の成立要件が正当防衛に比べて厳格とされ、「補充の原則」や「法益権衡の原則」が要求されるのはこの差異に基づく。