- 刑法(総論)ー3.犯罪の概念と成立要件
- 1.犯罪の概念と成立要件
- 犯罪の概念と成立要件
- Sec.1
1犯罪の概念と成立要件
■犯罪の概念と成立要件
(1) 犯罪の成立要件
犯罪とは、「構成要件に該当する、違法で、有責な行為である。したがってこれら1つでも要件を満たさなければ、犯罪とはならないことになる。
(2) 構成要件該当性
構成要件とは、刑法その他の刑罰法規において定められた犯罪の類型をいう。ある行為がその型にあてはまることを構成要件に該当するという。
(3) 違法性
構成要件に該当する場合、その行為が違法であることを要する。例えば、人を殴って怪我をさせた場合、傷害罪(刑法204条)の構成要件に該当するが、先に相手が殴りかかってきたため、自分の身を守るため、結果的に相手に怪我を負わせることになってしまった場合のように、正当防衛(刑法36条1項)の要件を満たす場合には、違法性は阻却されて、犯罪は成立しない。
(4) 有責性
構成要件に該当する、違法な行為をおこなっても、それが有責な行為でなければ犯罪として処罰することはできない。つまり、構成要件に該当する違法な行為をおこなったことについて、行為者に責任が存在しなければならない。例えば刑法41条によって刑事未成年者とされる14歳未満の未成年が構成要件に該当する違法性のある行為をおこなっても、有責性を欠くことになるため犯罪として処罰の対象とはならない。
刑法41条(責任年齢)
14歳に満たない者の行為は、罰しない。