- 司法書士法ー5.公共嘱託登記司法書士協会
- 1.公共嘱託登記司法書士協会
- 公共嘱託登記司法書士協会
- Sec.1
1公共嘱託登記司法書士協会
■公共嘱託登記司法書士協会
(1) 公共嘱託登記司法書士協会の組織
公共嘱託登記司法書士協会(以下「協会」という。)は、司法書士および司法書士法人を社員とする一般社団法人である(法68条1項)。
(2) 協会の目的
協会は、官庁、公署その他政令で定める公共の利益となる事業を行う者(以下「官公署等」という。)による不動産の権利に関する登記の嘱託または申請の適正かつ迅速な実施に寄与することを目的とする(法68条1項)。
(3) 定款の記載事項
協会の定款には、次の事項を定めなければならない(法68条1項)。
① 社員は、その主たる事務所の所在地を管轄する法務局または地方法務局の管轄区域内に事務所を有する司法書士または司法書士法人でなければならないものとすること。 ② 上記①の司法書士または司法書士法人が社員になろうとするときは、正当な理由がなければ、これを拒むことができないものとすること。 ③ 理事の員数の過半数は、社員(社員である司法書士法人の社員を含む。)でなければならないものとすること。 |
上記①~③の定款の定めは、これを変更することができない(法68条2項)。
Point1 協会の社員は、その主たる事務所の所在地を管轄する法務局または地方法務局の管轄区域内に事務所を有する司法書士または司法書士法人に限られるので、その管轄区域外に事務所を移転した場合は、社員である司法書士または司法書士法人は社員の資格を失うことになる。
Point2 協会の理事は、必ずしも全員が協会の社員である必要はない。
■協会の業務
(1) 協会の業務
協会は、その設立の目的〔法68条1項〕を達成するため、官公署等の嘱託を受けて、不動産の権利に関する登記につき司法書士の業務(簡裁訴訟代理等関係業務を除く。)〔法3条1項1号から5号までに掲げる事務〕を行うことをその業務とする(法69条1項)。
Point1 協会の業務は「不動産の権利に関する登記」についての司法書士の業務に限られるので、「供託」に関する手続を行うことはできない。
Point2 協会の社員は、その主たる事務所の所在地を管轄する法務局または地方法務局の管轄区域内に事務所を有する司法書士または司法書士法人であるが、その管轄区域外にある官公署等の嘱託を受けることもできる。
(2) 依頼に応ずる義務
協会は、正当な事由がある場合でなければ依頼(簡裁訴訟代理等関係業務に関するものを除く。)を拒むことができない(法70条、21条)。
Point 協会が違反した場合は、その違反行為をした協会の理事または職員は、100万円以下の罰金に処せられる(法75条3項)。
(3) 非司法書士等による協会の業務の取扱いの禁止
協会は、その業務に係る事務〔法69条1項〕を、司法書士会に入会している司法書士または司法書士法人でない者に取り扱わせてはならない(法69条2項)。
Point1 協会は、その業務に係る事務を司法書士または司法書士法人ではない者に取り扱わせてはならないが、司法書士または司法書士法人であれば、他の協会の社員である司法書士または司法書士法人に取り扱わせることもできる。
Point2 非司法書士等による業務の取扱いの禁止に協会が違反した場合は、その違反に係る司法書士の業務(簡裁訴訟代等関係業務を除く。)〔法3条1項1号から5号までに掲げる事務〕を取り扱い、または取り扱わせた協会の理事または職員は、6月以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられる。