• 司法書士法ー3.懲戒・非司法書士等の取締り
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1懲戒

堀川 寿和2022/02/08 15:05

懲戒処分

(1) 司法書士に対する懲戒

 司法書士が司法書士法または司法書士法に基づく命令に違反したときは、法務大臣は、当該司法書士に対し、次の懲戒処分をすることができる(法47条)。

① 戒告

2年以内の業務の停止

業務の禁止

 

(2) 司法書士法人に対する懲戒

 司法書士法人が司法書士法または司法書士法に基づく命令に違反したときは、法務大臣は、当該司法書士法人に対し、次の懲戒処分をすることができる(法481項)。

① 戒告

2年以内の業務の全部または一部の停止

解散

 懲戒処分〔法481項〕の手続に付された司法書士法人は、清算が結了した後においても、懲戒〔法6章〕の規定の適用については、当該手続が結了するまで、なお存続するものとみなされる(法482項)。したがって、懲戒処分の手続中に清算が結了した司法書士法人に対しても懲戒処分をすることができる。

 

Point1 司法書士も、司法書士法人も、司法書士法に違反した場合は、懲戒処分の対象となる。

Point2 司法書士に対する懲戒も、司法書士法人に対する懲戒も、懲戒権者は法務大臣である。

Point3 司法書士法人の社員である司法書士が、当該司法書士法人の業務について司法書士法に違反する行為を行った場合は、当該行為について、当該司法書士法人が懲戒処分を受けることがあるが、この場合に、当該行為を行った司法書士法人の社員である司法書士も重ねて懲戒処分を受けることがある。

懲戒の手続

(1) 違反事実の通知・調査

 何人も、司法書士または司法書士法人に司法書士法または司法書士法に基づく命令に違反する事実があると思料するときは、法務大臣に対し、当該事実を通知し、適当な措置をとることを求めることができる(法491項)。この通知があったときは、法務大臣は、通知された事実について必要な調査をしなければならない(法492項)。

 

(2) 聴聞

 法務大臣は、司法書士に対する懲戒処分〔法47条〕または司法書士法人に対する懲戒処分〔法481項〕をしようとするときは、聴聞を行わなければならない(法493項、行政手続法131項)。聴聞の期日における審理は、当該司法書士または当該司法書士法人から請求があったときは、公開により行わなければならない(法495項)。

 

Point 法務大臣は、懲戒処分をしようとする場合は、処分の内容を問わず、必ず聴聞を行わなければならない。

登録取消しの制限等

 法務大臣は、司法書士に対して司法書士に対する懲戒処分〔法47条各号〕をしようとする場合においては、聴聞の期日および場所等についての通知〔行政手続法151項〕を発送し、または掲示〔同条3項〕をした後直ちに連合会にその旨を通告しなければならない(法501項)。

 連合会は、司法書士について上記の通告を受けた場合においては、法務大臣から司法書士に対する懲戒処分〔法47条各号〕の手続が結了した旨の通知を受けるまでは、当該司法書士について次の事由による登録の取消しをすることができない(法502項)。

① その業務を廃止したとき(法1511号)。

② 引き続き2年以上業務を行わないとき(法1611号)。

③ 心身の故障により業務を行うことができないとき(法1612号)。