- 司法書士法ー2.司法書士法人
- 4.司法書士法人の解散・清算・合併
- 司法書士法人の解散・清算・合併
- Sec.1
1司法書士法人の解散・清算・合併
■司法書士法人の解散および清算
(1) 解散
① 解散事由
司法書士法人は、次の理由によって解散する(法44条1項)。
(a) 定款に定める理由の発生(1号) (b) 総社員の同意(2号) (c) 他の司法書士法人との合併(3号) (d) 破産手続開始の決定(4号) (e) 解散を命ずる裁判(5号) (f) 司法書士法人に対する懲戒としての解散〔法48条1項3号〕の処分(6号) (g) 社員の欠亡(7号) |
② 解散の届出
司法書士法人は、上記(c)〔法44条1項3号〕の事由以外の事由により解散したときは、解散の日から2週間以内に、その旨を、主たる事務所の所在地の司法書士会および連合会に届け出なければならない(法44条2項)。
③ 清算人の資格
司法書士法人の清算人は、司法書士でなければならない(法44条3項)。
(2) 司法書士法人の継続
司法書士法人の清算人は、社員の死亡により上記①(g)〔法44条1項7号〕に該当するに至った場合に限り、当該社員の相続人の同意を得て、新たに社員を加入させて司法書士法人を継続することができる(法44条の2)。
(3) 裁判所による監督
司法書士法人の解散および清算は、裁判所の監督に属する(法44条の3第1項)。裁判所は、職権で、いつでも前項の監督に必要な検査をすることができる(法44条の3第2項)。
司法書士法人の解散および清算を監督する裁判所は、法務大臣に対し、意見を求め、または調査を嘱託することができる(法44条の3第3項)。法務大臣は、裁判所に対し、意見を述べることができる(法44条の3第4項)。
(4) 解散および清算の監督に関する事件の管轄
司法書士法人の解散および清算の監督に関する事件は、その主たる事務所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する(法44条の4)。
(5) 検査役の選任
裁判所は、司法書士法人の解散および清算の監督に必要な調査をさせるため、検査役を選任することができる(法44条の5第1項)。
裁判所は、検査役を選任した場合には、司法書士法人が当該検査役に対して支払う報酬の額を定めることができる(法44条の5第3項前段)。この場合においては、裁判所は、当該司法書士法人および検査役の陳述を聴かなければならない(法44条の5第3項後段)。
■司法書士法人の合併
(1) 合併
① 合併
司法書士法人は、総社員の同意があるときは、他の司法書士法人と合併することができる(法45条1項)。
② 合併の効力の発生
合併は、合併後存続する司法書士法人または合併により設立する司法書士法人が、その主たる事務所の所在地において登記することによって、その効力を生ずる(法45条2項)。
③ 合併の届出
司法書士法人は、合併したときは、合併の日から2週間以内に、登記事項証明書(合併により設立する司法書士法人にあっては、登記事項証明書および定款の写し)を添えて、その旨を、主たる事務所の所在地の司法書士会および連合会に届け出なければならない(法45条3項)。
④ 合併による権利義務の承継
合併後存続する司法書士法人または合併により設立する司法書士法人は、当該合併により消滅する司法書士法人の権利義務を承継する(法45条4項)。
(2) 債権者の異議等
① 債権者の異議
合併をする司法書士法人の債権者は、当該司法書士法人に対し、合併について異議を述べることができる(法45条の2第1項)。
② 合併の公告および催告
合併をする司法書士法人は、次の事項を官報に公告し、かつ、知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない(法45条の2第2項本文)。
(a) 合併をする旨 (b) 合併により消滅する司法書士法人および合併後存続する司法書士法人または合併により設立する司法書士法人の名称および主たる事務所の所在地 (c) 債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨 |
なお、(c)〔法45条の2第2項3号〕の期間は、1箇月を下ることができない(法45条の2第2項ただし書)。
③ 合併の催告を省略できる場合
合併をする司法書士法人が上記②の公告〔法45条の2第2項〕を、官報のほか、定款の定め〔法45条の2第6項、会社法939条1項〕に従い、時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法〔会社法939条1項2号〕または電子公告〔同項3号〕によりするときは、上記②の各別の催告〔法45条の2第2項〕は、することを要しない(法45条の2第3項)。
④ 合併のみなし承認
債権者が上記②(c)〔法45条の2第2項3号〕の期間内に異議を述べなかったときは、当該債権者は、当該合併について承認をしたものとみなされる(法45条の2第4項)。
⑤ 債権者が異議を述べた場合の措置
債権者が上記②(c)〔法45条の2第2項3号〕の期間内に異議を述べたときは、合併をする司法書士法人は、当該債権者に対し、弁済し、もしくは相当の担保を提供し、または当該債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社等(信託会社および信託業務を営む金融機関をいう。)に相当の財産を信託しなければならない(法45条の2第5項本文)。ただし、当該合併をしても当該債権者を害するおそれがないときは、この限りでない(法45条の2第6項ただし書)。