- 司法書士法ー2.司法書士法人
- 2.司法書士法人の業務
- 司法書士法人の業務
- Sec.1
1司法書士法人の業務
■業務の範囲
司法書士法人は、司法書士の業務(簡裁訴訟代理等関係業務を除く。)〔法3条1項1号から5号までに規定する業務〕を行うほか、定款で定めるところにより、次の業務を行うことができる(法29条1項)。
① 法令等に基づきすべての司法書士が行うことができるものとして法務省令で定める業務の全部または一部 法務省令で定める業務は、次のとおり。 (a) 当事者その他関係人の依頼または官公署の委嘱により、管財人、管理人その他これらに類する地位に就き、他人の事業の経営、他人の財産の管理もしくは処分を行う業務またはこれらの業務を行う者を代理し、もしくは補助する業務 (b) 当事者その他関係人の依頼または官公署の委嘱により、後見人、保佐人、補助人、監督委員その他これらに類する地位に就き、他人の法律行為について、代理、同意もしくは取消しを行う業務またはこれらの業務を行う者を監督する業務 (c) 司法書士または司法書士法人の業務に関連する講演会の開催、出版物の刊行その他の教育および普及の業務 (d) 競争の導入による公共サービスの改革に関する法律33条の2第1項に規定する特定業務 (e) 司法書士の業務(簡裁訴訟代理等関係業務を除く。)〔法3条1項1号から5号までに規定する業務〕および上記(a)~(d)の業務に附帯し、または密接に関連する業務 ② 簡裁訴訟代理等関係業務 |
ただし、上記②の簡裁訴訟代理等関係業務は、社員のうちに「認定司法書士」〔法3条2項に規定する司法書士〕がある司法書士法人(司法書士会の会員であるものに限る。)に限り、行うことができる(法29条2項)。
■特定の事件についての業務の制限
(1) すべての司法書士法人を対象とするもの
司法書士法人は、次の事件については、裁判書類作成関係業務を行ってはならない(法41条1項)。
① 相手方の依頼を受けて「裁判所等に提出する書類等を作成する事務を行う業務」〔法3条1項4号に規定する業務〕を行った事件(1号)
③ 法22条1項、2項1号もしくは2号または3項1号から5号までに掲げる事件として社員の半数以上の者が「裁判書類作成関係業務」を行ってはならないこととされている事件
(2) 簡裁訴訟代理等関係業務を行うことを目的とする司法書士法人を対象とするもの
① 「裁判書類作成関係業務」を行うことが禁止される場合
簡裁訴訟代理等関係業務を行うことを目的とする司法書士法人(過去に簡裁訴訟代理等関係業務を行うことを目的としていたものを含む。)は、次の事件については、裁判書類作成関係業務を行ってはならない(法41条2項本文)。ただし、(c)の事件については、受任している事件の依頼者が同意した場合は、この限りでない(法41条2項ただし書)。
(a) 簡裁訴訟代理等関係業務に関するものとして、相手方の協議を受けて賛助し、またはその依頼を承諾した事件(1号) (b) 簡裁訴訟代理等関係業務に関するものとして相手方の協議を受けた事件で、その協議の程度および方法が信頼関係に基づくと認められるもの(2号) (c) 簡裁訴訟代理等関係業務に関するものとして受任している事件の相手方からの依頼による他の事件〔ただし、受任している事件の依頼者が同意した場合を除く(法41条2項ただし書)。〕(3号) |
② 「簡裁訴訟代理等関係業務」を行うことが禁止される場合
簡裁訴訟代理等関係業務を行うことを目的とする司法書士法人は、次の事件については、簡裁訴訟代理等関係業務を行ってはならない(法41条3項本文)。
(a) 上記(1)①~③〔法41条1項各号〕および上記(2)①(a)~(c)〔法41条2項各号〕の事件 ただし、上記(2)①(c)〔法41条2項3号〕の事件については、受任している事件の依頼者が同意した場合を除く(法41条3項ただし書)。 (b) 法22条1項に掲げる事件または法22条4項に規定する同条2項1号もしくは2号もしくは3項1号から5号までに掲げる事件として特定社員の半数以上の者が簡裁訴訟代理等関係業務を行ってはならないこととされる事件 |
■簡易裁判所における訴訟等の代理事務の取扱い
司法書士法人は、簡易裁判所における一定の手続を代理する事務〔法3条1項6号に掲げる事務〕については、依頼者からその社員または使用人である「認定司法書士」〔法3条2項に規定する司法書士〕(以下「社員等」という。)に行わせる事務の委託を受けるものとする(法30条1項前段)。この場合において、当該司法書士法人は、依頼者に、当該司法書士法人の社員等のうちからその代理人を選任させなければならない(同項後段)。
司法書士法人は、上記の事務〔法30条1項〕についても、社員等がその業務の執行に関し注意を怠らなかったことを証明しなければ、依頼者に対する損害賠償の責めを免れることはできない(法30条2項)。