- 供託法ー15.供託関係書類の閲覧と供託事項の証明
- 1.供託関係書類の閲覧と供託事項の証明
- 供託関係書類の閲覧と供託事項の証明
- Sec.1
1供託関係書類の閲覧と供託事項の証明
■供託関係書類の閲覧
(1) 閲覧請求権者
① 供託につき利害関係を有する者
供託につき利害関係を有する者は、供託に関する書類(電磁的記録を用紙に出力したものを含む。)の閲覧を請求することができる(供託規48条1項)。
② 利害関係の意義
ここでいう供託につき利害の関係がある者とは、供託物について直接法律上の利害関係を有することをいい、具体的には供託物取戻請求権者、還付請求権者およびそれらの一般承継人(相続人等)、ならびにそれらの権利の譲受人、質権者、差押債権者等をさす。
譲受人等はいずれも通知、送達が供託所に対してなされている必要がある。それがなされてはじめて供託上の利害関係人といえるからである。
先例 |
(昭38.5.22民甲1452号) |
|
|
供託物払渡請求権者の一般債権者であっても、これから当該払渡請求権を差し押さえようとする者は利害関係人にあたらない。 |
⇒ まだ供託物に関する直接の利害関係を有しているといえないからである。
先例 |
(平14.11.22民商2757号) |
|
|
建物の賃借人が賃貸人に対する家賃を供託していたところ、当該建物の抵当権者が物上代位により、その供託金の還付請求権を差し押さえる前提として、当該抵当権設定登記の不動産登記事項証明書を添付した上で供託書副本(現在では副本ファイル)の閲覧請求をすることができる。 |
⇒ 抵当不動産が賃貸された場合においては、賃貸人が供託した賃料の供託金還付請求権について物上代位ができる(最平1.10.27)ため、抵当権者はその供託に関し直接の利害関係を有するといえるからである。
(2) 閲覧の申請手続
① 閲覧申請書の提出
供託関係書類の閲覧を請求しようとする者は、閲覧申請書類を保管している供託所に提出しなければならない(供託規48条2項)。
② 添付書類
1. 印鑑証明書
閲覧請求が本人の意思に基づくことを確認するため、供託者が申請する場合には閲覧申請書に、それ以外の場合には委任状に押されている申請者本人の印鑑につき市区町村長または登記所の作成した印鑑証明書を添付しなければならない(供託規48条3項、26条)。なお、閲覧申請書に供託書正本を添付したときは印鑑証明書の添付が不要になるといった例外は存在しない。
2. 代理権限証書
閲覧は代理人によってすることもでき、その場合は委任状を添付しなければならない。もっとも、代理人が支配人その他登記された代理人であるときは、登記事項証明書を閲覧の際に提示すれば足りる(供託規48条3項、27条)。
3. 代表者の資格を証する書面
請求者が法人である場合は、代表者の資格証明書を、登記のある法人の場合は提示で足りるが、それ以外の法人の場合は添付する必要がある。
4. 利害関係を有することを証する書面
閲覧は利害関係人に限り認められるが、利害関係を有する書面は原則として必要がない(昭35全国会同決議)。利害関係を有するか否かは、供託関係書類上明らかであるためである。ただ、承継人からの請求の場合には、承継人であることを証明する書面などが必要となる。
(3) 閲覧させた際の事務処理
払渡しの完了しない供託に関し、供託の確認を目的とする閲覧をさせたときは、副本ファイルに、閲覧の年月日、申請者の氏名および閲覧させた旨を記録しなければならない(供託準則87条)。供託所が供託を認めて閲覧を認めた場合、債務の承認として時効中断効があり、それを明確にするためである。
■供託事項の証明
(1) 証明請求権者
供託につき利害の関係がある者は、供託に関する事項につき証明を請求することができる(供託規49条1項)。ここでいう利害関係人の範囲は、閲覧の場合と同様である(昭42.1.31民甲174号)。
(2) 証明の申請手続
証明を請求しようとする者は、証明申請書を供託所に提出しなければならない(供託規49条2項)。この申請書には、証明を請求する事項を記載した書面を、証明の請求数に応じて添付しなければならない(供託規49条3項)。なお、申請書には、証明申請の目的を記載しなければならないとされている。
(3) 証明した際の事務処理
払渡しの完了していない供託物につき証明を付与したときも、副本ファイルに証明の年月日、申請者の氏名およびその証明の要旨を記録しなければならない(供託準則87条)。証明も債務の承認となり消滅時効の進行を中断させるから、その旨明らかにしておく必要があるからである(昭10.7.8民甲675号)。