- 民事保全法ー1.民事保全序説
- 3.保全処分手続の特徴
- 保全処分手続の特徴
- Sec.1
1保全処分手続の特徴
■保全処分手続の特徴
(1) 仮定性・暫定性
民事保全手続は、のち民事訴訟の本案で権利関係が確定されるまでの仮定的なものである(暫定性)。
① 仮差押え
債務者の財産を差し押えてその処分を禁止するにとどまる。
② 係争物に関する仮処分
不動産の登記請求権または物の引渡し(明渡し)請求権等の将来の執行保全を目的とするところから、その物の現状を維持しておく範囲の処分にとどまる。
③ 仮の地位を定める仮処分
これは仮処分により、権利を実現したのと同一の状態が作り出されるが、これもあくまで仮定的・暫定的なものに止まる。
(2) 迅速性・密行性
保全処分は、その目的から特に迅速性が要求され、また財産移動防止のため密行性が要求される。
① 保全命令
保全命令は、口頭弁論を経ないで発することができる(民保法3条)。
保全命令の要件である被保全権利、保全の必要性の認定は、疎明によってすることができる(民保法13条2項)。
② 保全執行
保全執行は原則として保全命令の正本に基づいて実施され、執行文の付与を要しない。ただし、承継執行文は必要である(民保法43条1項)。保全命令は債務者に送達されなければならないが、その執行は送達前であってもすることができる(同条3項)。また執行の着手も債権者に保全命令が送達された日から2週間以内に限られる(同条2項)。