- 民事執行法ー14.担保権の実行としての競売
- 2.不動産担保権の実行
- 不動産担保権の実行
- Sec.1
1不動産担保権の実行
■強制競売の規定の準用
不動産競売では、不動産の強制競売に関する規定の多くが準用されている(民執法188条)。
したがって、二重開始決定が認められ、現況調査、物件明細書の作成、売却基準価額の決定、剰余主義の適用、配当要求、売却の方法、売却の許可・不許可の決定、売却代金の配当等の実施など、すべて強制競売と同じ手続によって行われる。また、担保不動産収益執行では、強制管理の規定が準用されている。
■不動産担保権の実行方法
不動産(登記することができない土地の定着物を除き、民執法43条2項により不動産とみなされるものを含む)を目的とする担保権(不動産担保権)の実行は、次に掲げる方法であって債権者が選択したものにより行う(民執法180条)。
① 担保不動産競売
競売の方法による不動産担保権の実行手続である。
② 担保不動産収益執行
不動産から生ずる収益を被担保債権の弁済に充てる方法である。
■不動産担保権の実行の開始
(1) 管轄裁判所
不動産担保権の実行については、その所在地(登記された地上権など民執法43条2項により不動産とみなされるものにあってはその登記をすべき地)を管轄する地方裁判所が、執行裁判所として管轄する(民執法188条、44条)。
(2) 担保権の存在を証明する法定の証明文書
債務名義に代わるものとして、不動産担保権の実行は、次に掲げる文書が提出されたときに限り、開始する(民執法181条1項)。
① 担保権の存在を証する確定判決、もしくは家事事件手続法75条の審判又はこれらと同一の効力を有するものの謄本(1号) 担保権の存在を確認する確定判決、和解調書、調停調齊、認諾調書などの謄本である。 ② 担保権の存在を証する公証人が作成した公正証書の謄本(2号) 例えば、抵当権設定契約の公正証書等である。 ③ 担保権の登記(仮登記を除く)のされている登記事項証明書(3号) ④ 一般の先取特権にあっては、その存在を証する文書(4号) |
(3) 承継文書の提出
担保権について承継があった後、不動産担保権の実行の申立てをする場合には、その承継を証する文書を提出しなければならない(民執法181条3項)。
(4) 不動産担保権実行の開始決定
執行裁判所は、不動産担保権実行の申立ての要件が具備されておれば、開始決定をし、具備されていなければ申立てを却下する。