• 民事執行法ー14.担保権の実行としての競売
  • 2.不動産担保権の実行
  • 不動産担保権の実行
  • Sec.1

1不動産担保権の実行

堀川 寿和2022/02/04 13:01

強制競売の規定の準用

 不動産競売では、不動産の強制競売に関する規定の多くが準用されている(民執法188条)。

 したがって、二重開始決定が認められ、現況調査、物件明細書の作成、売却基準価額の決定、剰余主義の適用、配当要求、売却の方法、売却の許可・不許可の決定、売却代金の配当等の実施など、すべて強制競売と同じ手続によって行われる。また、担保不動産収益執行では、強制管理の規定が準用されている。

不動産担保権の実行方法

 不動産(登記することができない土地の定着物を除き、民執法43条2項により不動産とみなされるものを含む)を目的とする担保権(不動産担保権)の実行は、次に掲げる方法であって債権者が選択したものにより行う(民執法180条)。

担保不動産競売

 競売の方法による不動産担保権の実行手続である。

担保不動産収益執行

 不動産から生ずる収益を被担保債権の弁済に充てる方法である。

不動産担保権の実行の開始

(1) 管轄裁判所

 不動産担保権の実行については、その所在地(登記された地上権など民執法43条2項により不動産とみなされるものにあってはその登記をすべき地)を管轄する地方裁判所が、執行裁判所として管轄する(民執法188条、44条)。

 

(2) 担保権の存在を証明する法定の証明文書

 債務名義に代わるものとして、不動産担保権の実行は、次に掲げる文書が提出されたときに限り、開始する(民執法181条1項)。

担保権の存在を証する確定判決、もしくは家事事件手続法75条の審判又はこれらと同一の効力を有するものの謄本(1号)

担保権の存在を確認する確定判決、和解調書、調停調齊、認諾調書などの謄本である。

担保権の存在を証する公証人が作成した公正証書の謄本(2号)

例えば、抵当権設定契約の公正証書等である。

担保権の登記(仮登記を除く)のされている登記事項証明書(3号)

一般の先取特権にあっては、その存在を証する文書(4号)

 

(3) 承継文書の提出

 担保権について承継があった後、不動産担保権の実行の申立てをする場合には、その承継を証する文書を提出しなければならない(民執法181条3項)。

 

(4) 不動産担保権実行の開始決定

 執行裁判所は、不動産担保権実行の申立ての要件が具備されておれば、開始決定をし、具備されていなければ申立てを却下する。